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いつの頃からか当たり前になったSUVというカテゴリー

ポルシェにジャガーにアストンマーチン、さらにはあの超高級ブランドのベントレーまでが参入した、世界的に今最も熱いジャンルの一つがSUVです。そんな超高級車ばかりではなく、日本では経済性の高いハイブリッドカーやコンパクトカーなどと並び、比較的手ごろなサイズのSUVの販売台数が伸びています。
 
ミニバンや軽自動車で埋め尽くされるよりも華やかさや個性の感じられるSUVが路上を走っていれば、それだけで街の風景が少し明るくなったように感じられるので個人的にはそういった傾向は大歓迎です。
 
ところで、そんな“SUV”というジャンルですが、いつの間に日本に定着したのでしょうか? 筆者は20年以上も前、月刊の四駆雑誌の編集者をしていました。
 
しかし当時のその四駆の専門誌では、SUVというワードは誌面に一切出てきませんでした。いわゆるオフロードの四輪駆動車のことはただ四駆というか、少し詳しい人でもクロカン四駆と呼んでいたくらいでしたね。では当時のクロカン四駆と今のSUVって別のモノなのでしょうか?それとも単に呼び方が変わったモノなのでしょうか?
 
 

90年代、アウトドアブームと共にRV車が一大ブームに

 
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筆者が編集者をしていた1990年代はじめの頃はちょうどバブルがはじけた直後でした。その当時大流行していたのがスキーやスノボなどのウインタースポーツや、キャンプや釣りなどのアウトドアレジャーです。
 
湯水のようにお金を使って贅沢三昧こそが正義だったバブルの反動か、自然への回帰や、心の豊かさを求めるかのように郊外での体験型レジャーが一大ブームとなったのかもしれません。多くの人が、というかほとんどの人がこぞってフィールドに飛び出しました。
 
そして、そんなアウトドアブームと共に人気となったのがいわゆるRV(レクリエーショナル・ビークル)車と言われるクルマたちでした。
 
ちなみに、今ではほとんど聞かれないこのRVというワードですが、もともとアメリカでキャンピングカーやキャンピングトレーラーなどを指す言葉だったそうです。しかし日本では、もっと広い意味で使われ、レガシィなどのステーションワゴンや、デリカなどのワンボックスワゴン、さらに注目され始めたプレーリーなどのミニバンにエスクードなどのクロスカントリー四輪駆動車まで、様々な車種がRVのカテゴリーに入れられました。ざっくり行ってしまうと、セダンやコンパクトカーとは違うちょっとアウトドアイメージのあるクルマを総称して、RVと呼んでいたような気がします。
 
 

三菱パジェロが空前の大ヒットを記録

 
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(出典:Wikipedia/ファイル名:Mitsubishi Pajero LF.jpg/投稿者:T/Y (jp))

 
そしてそんなRV車ブームの中で、特に人気を集めたのが三菱のパジェロ、トヨタのハイラックスサーフ、そして日産のテラノと言われる当時のクロカン四輪のいわば御三家です。トヨタのランドクルーザーシリーズや日産のサファリ(現在日本では絶版)は、それとは別格の扱いでしたね。
 
四駆専門誌編集部員の筆者はそれこそ毎月この3車種を借り出しては様々な企画で、誌面に登場させていたのを覚えています。おそらく今ならこれらのクルマはSUVにくくられるのでしょうが、当時は単にクロカン四駆と呼んでいました。
 
ただし、それまでのJEEPやランドクルーザー70、サファリなど、本格的なクロカン四駆とはこの3車はちょっと違ったイメージで受け止められており、乗用車的な快適さや、ソフトでスタイリッシュなデザインもあってかそれまで、クロカン四駆に興味を持っていない人たちまでが、こぞってそれまでのセダンやコンパクトカーから、これら車種に乗り換えたのです。ちなみに筆者の友人もパジェロに買い換えました。
 
そして、今では考えられないほどの大ヒットとなりその筆頭であるパジェロなどは一時期なんとあのカローラを脅かすほどの販売台数を記録したのですから、今では考えられません。そう考えると、その当時すでにSUVブームの下地はできていたのかもしれませんね。
 
 

SUVとはピックアップトラックベースのワゴンのことだった

 
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最初の疑問に戻って、そもそもSUVとはなんなのか?言葉そのものはSports Utility Vehicle(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)を略したもので、日本語に無理矢理訳せばスポーツ用多目的車となるようですが、あまりピンとはきませんよね。発祥はやはりというか当然というかアメリカです。当初はピックアップトラックの荷台に、FRP製のシェルを被せた2ドアのワゴンを指すものだったようです。日本でもハイラックスやダットサントラックにFRP製のシェルを被せたものが走っていました。あればSUVの走りだったのですね。
 
しかし、後に4ドアのものや、モノコックボディのクルマも含めアメリカでも様々な形態のクルマが広くSUV呼ばれるようになっているので、明確にこれがSUVという定義は結局なくなってしまいました。
 
では現在はどのようなものがSUVとなるのかというと、高い車高を持ち、大きなタイヤを履いていて、多くの荷物が積載可能なツーボックスタイプのクルマ全般をSUVといって構わないようです。駆動方式も4WDでなくてもよく、2WDでもメーカーがSUVだとうたえばSUVとして問題ないのでしょう。定義がないのですから仕方がないですよね。
 
中には単なるツーボックスのコンパクトカーの車高を少し上げて、アウトドア風の装飾を施しただけでSUVとうたってしまうメーカー(ヨーロッパ車に多いですね。)もあるくらいですから、もはやなんでもありなのかもしれません。
 
 

日本でSUVという言葉が使われるようになったのは?

 
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では日本においてSUVというカテゴリーが知られるようになったのはいつかというと、様々な説がありますが、筆者の感覚ではおそらく2000年代に入る少し手前くらいだと思います。
 
1990年代の後半ごろから専門誌などでもトヨタのRAV4やホンダのCR-Vなど乗用車ライクな4WD車、アメリカではクロスオーバーSUVというジャンルにくくられるようなクルマたちが人気になりはじめました。メディアでもこれらのクルマを紹介する際に「アメリカではSUVというカテゴリーで…」などと書かれることがあり、クルマに詳しい人の間に徐々にSUVというワードが浸透していったのです。
 
そして、1997年、大ヒットとなったトヨタのハリアーが発売されました。ピックアップベースのSUVや本格的なクロカン四駆のようなフレームは持たず、セダンなどと同様のモノコックボディを採用した車高の高い乗用車ライクなクロスオーバーSUVです。
 
ただ、中途半端にオフロードイメージを残したそれまでのライバル車よりも、ずっと都会的なスタイリングも持ち、車高の高い四駆っぽさはあるのに2WD車もラインナップされている。それに泥のイメージが一切せず高級感満点でインテリアも快適!これは素晴らしい!!と、爆発的なヒットとなったのです。
 
欧米ではプレミアムブランドのレクサスRXとして発売されていた、というのも良いイメージにつながったのかもしれません。また、ベンツやBMWがこの後同じような乗用車ベースの高級SUVをラインナップに加えるようになったのも、一部ではハリアーの世界的なヒットがきっかけではとも言われています。
 
 

SUVっぽさを決定づけているのは車高の高さと径の大きなタイヤにある?

 
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ハリアーが2代目にモデルチェンジしたのが2003年。この頃になると、専門誌だけでなく、メーカーもSUVという言葉を使用するようになり、クルマ好きの一般の方にも、SUVが認知されるようになっていきました。そして現在に至るというわけです。
 
ただ、日本でのSUVというジャンルは、本家アメリカ以上にあいまい。ハリアーやヴェゼル、エクストレイルなどのクロスオーバーSUVから、ランドクルーザーやパジェロといったかつてのクロカン四駆、そしてステーションワゴンベースのアウトバックなどもすべて含めてSUVという大きなカテゴリーに入れられています。
 
ただしクロスオーバーSUVのハリアーなどを、間違ってもクロカン四駆とは言わないので注意してください。クロカン四駆は日本においては、大きなSUVの中の、一つの小さなカテゴリーになっています。
 
結論として、現在の日本におけるSUVとは、セダンやハッチバック車よりも車高が高く、タイヤの径も大きめで最低地上高もそれなりにあるツーボックススタイルのクルマ全般のことを指した大きなカテゴリーということですね。SUVっぽさは、見た目のそういった部分にあるという事でいいのでしょう。
 
そして、SUVであることにアウトドアイメージや、悪路走破性(実際にオフロードで使われることはまずないですから)は必要ありません。最終的には、メーカー自身がこのクルマはSUVである! とアナウンスし、かつユーザーサイドがそれに納得すれば、それがSUVということでいいのではないでしょうか。なにしろ明確な定義がないのですからそういうことでご納得下さい。その分これからもさらにユニークなSUVが登場するかもしれません。ミニバンやスモールカーにそろそろ飽きてきたという方は、そんな今後どんなクルマが登場するのか分からない、SUVに注目してみてはいかがでしょうか。