
廃車にする車両を買い取ってもらいたい時には、廃車専門の買取業者に依頼ができます。
しかし、メーカーディーラーや中古車販売店でも、廃車対象の車両引き取りには廃車処分料が課せられる事が多く、“車を廃車にするにはお金がかかる”というのが普通だと認識している方も多いのが現状です。廃車買取はまだまだ業者も多くなく情報が少ないので、自分の車を廃車買取業者に売りたい時に「買い取ってもらえるのか」「いくらの値段が付くのだろうか」といった事を知りたくても情報が少なくイメージが沸かないケースも多くあるかと思います。ここでは、車両の廃車買取について、その相場や仕組みなどを紹介していきます。
廃車
自動車を買い替える際には、新しい車両の購入先であるカーディーラーや自動車販売店に下取りとして買い取ってもらうケースが多いかと思いますが、「もう乗らなくなった」あるいは「乗れなくなってしまった」という様な自動車を手放したい場合には、自動車を「廃車」にする必要があります。
廃車の方法
所有車を手放したいと思った時、もしも買い替えなら下取りとして付き合いのあるディーラーに任せる事ができますし、中古車販売店でもある程度の下取りには応じてくれるでしょう。
しかし、あまりに年式が古いケースや不動車、故障車両などの場合には車両自体に値段がつかず、買取は不可能と言われてしまう事もあります。
そんな時には車両を廃車にする事になりますが、ディーラーや中古車販売店に廃車を依頼すると廃車の為の手数料として数万円程度を支払わなくてはならないケースもあります。
廃車出来る車両
基本的には、買取り価格が付かない車両、次のユーザーが使う事が出来ない、車両としての役目を終えた車両が「廃車」の道を辿る事になります。
事故車や故障車など、走行する事ができなくなった車両でも、一度「車」として登録された車両なら、廃車の手続きを行う事ができます。
廃車買取り
車両を廃車にする為には廃車費用が発生するという認識を持たれる方も多いかと思いますが、近年は廃車買取りの専門業者も増えてきており、廃車にしたい車両でも値段をつけて買い取ってもらう事が出来るようになってきました。では廃車買取りの仕組みについて見ていきましょう。
買取出来る理由
年式が古くなった車両、走行できなくなった車両なのに何故値段をつけて買い取ってもらう事ができるのでしょうか。もちろん、廃車買取り業者が値段をつけて車両を買い取るのには理由があります。
パーツの再利用
自動車は様々な部品で構成されています。車両のどこかに不具合が出ていて走行できなくなってしまったとしても、それは一部分の不具合であり、パーツレベルで見ればまだまだ使う事の出来る部品が多くあります。
日本車は海外では人気が高く、同じ車両を何十年、数十万キロという走行距離まで使うケースも珍しくありませんが、そういった海外で活躍する日本車の修理のためのパーツが、廃車になった車両から解体され、必要とする海外のバイヤーが買取りを行うという市場も存在します。
「鉄」「アルミ」「貴金属」を再利用
走行できなくなった車両は、エアバックやエンジンをはじめ主なパーツを解体した後、いわゆるスクラップが出来る金属の塊になります。
この金属の塊は、資源としてまた別の場所で活躍する事ができます。スクラップ専門の買取り業者がおり、廃車買取り業者は車体を解体した後に、そういった業者にスクラップ資源を販売する事で収益を得ています。
買取り相場
廃車買取価格の相場を調べようと思っても、中古車の買取り相場とは異なり明確な金額のイメージを確認できる情報は少なく、自分が廃車にしたい車両が一体いくらで売れるのかというのは判断しにくいかと思います。
何故かというと、廃車買取り業者がその車両をいくらで買い取るかという目安には相場変動が関わっている為です。
「鉄」「アルミ」「貴金属」の相場変動
一般社団法人日本鉄リサイクル工業会でも公表されている「鉄スクラップ相場」をご覧いただければわかりますが、スクラップの買取り相場というのは月単位でもかなり変動があります。もちろん、廃車買取り業者はこのスクラップ買取り相場が高い時に解体した車両のスクラップを販売したい訳ですが、相場変動と実際の買取り価格には多少のラグが生じますし、解体作業にかかる時間も考慮する必要がありますので、“スクラップがいくらで売れるか”そして“車両をいくらで買取りができるか”という事について、リアルタイムでの価格見積もりが難しいのです。
部品の需要
海外のバイヤーが欲している自動車パーツの種類が通年同じという訳ではありません。その時々で需要のある部品は異なりますので、廃車買取りをした後に部品として再利用させる事の出来るパーツがどれだけあるかという事を管理するのは難しい事でもあります。
しかし、長年、そして通年変わらず人気の高いSUV車のパーツや大衆車の汎用パーツなどは相場が安定していますので廃車買取り価格も高くなりやすい、あるいは安定すると言えるかと思います。
廃車タイミング
せっかく廃車買取りをしてもらえるのなら、1円でも高く買い取ってもらいたいというのが本音かと思います。では、一体どのタイミングで廃車を申し込む事が良いのか、目安はあるのでしょうか。
廃車買取り見積もり
中古車の買取り査定と同様に、廃車を買い取ってもらう場合でも複数の廃車買取り業者に見積もりを依頼すると良いでしょう。
これはタイミングという事もありますが、廃車買取り業者によっても得意とする車種やジャンルなどが異なります。付き合いのあるバイヤーや、取引先の都合によってもその時々でどの車をいくらで買い取る事が出来るのかは各買取り業者で様々です。
自分が廃車にしたい車両に最も価値をつけてくれる業者を選ぶのが少しでも車両を高く買い取ってもらうコツと言えるでしょう。
還付
実は、自動車を廃車にする場合には、既に支払いが完了している「自動車税」や「自動車重量税」「自賠責保険」などの還付を受ける事が出来ます。
「自動車税」
廃車手続きを完了した月の翌月から、翌年の3月までの月割り計算を行った金額が返金されます。廃車の届け出を出すとその1~2か月後に還付通知が送付され、手順に従い手続きを行う事で残期間分の月割り自動車税が還付されます。
※軽自動車は還付対象外です。
「自動車重量税」
自動車重量税は車検時に課せられる税金です。廃車の手続きの際、永久抹消登録と共に自動車重量税還付手続きを行う事で、車検残存期間に対して月単位で清算され還付されます。
「自賠責保険」
税金と同様に、保険についても還付を受ける事が出来ます。廃車(一時抹消登録もOK)の際に発行される証明書類を準備し、保険会社に申請を行います。
残っている保険期間が1カ月未満の場合には還付金が発生しない事、加えて廃車にした日ではなく保険会社に還付申請を行った日から計算されての還付となる点に注意が必要です。
「任意保険」
任意保険については、廃車にする前でも解約ができますので、公道を走行する事はないと判断したらそのタイミングで解約する事で無駄な費用を抑える事ができます。
また。「〇月×日付で解約」というように日付指定で解約日を設定できる“先付解約”に対応している保険会社も多くありますので上手く活用してください。
任意保険でも、保険会社の定める手順に従い申請を行う事で残日数分の返金に対応してもらえるケースもあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。手放す事になった車両の廃車買取りの方法や、買取り価格の基準等について紹介してきました。日本では、平均して5~6年で車両を乗り替えてしまうという方も多く、“走れなくなるまで乗る”“廃車にする”という選択肢を取るケースはあまり多くはないかもしれません。ですが廃車にしたい車両でも、少しでも値段をつけて買い取ってもらう事ができたら有難いですし、せっかく買い取ってもらうなら少しでも高く売りたいですよね。廃車として車両を手放す際でも、是非損のないように工夫してお得に廃車手続きを進めてくださいね。