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身近なリスク、一酸化炭素中毒とは?

2018年2月北陸地方を襲った猛烈な寒波によって記録的な大雪が発生しました。福井県や石川県を中心に在来線の運休が相次ぎ、空の便も小松空港が4日間にわたって全便欠航。そのために物流が滞り、コンビニなどでは店頭の商品が品薄となり、ガソリンスタンドでは給油制限を行うなど、全国的に日常生活に大きな影響を与えました。
 
そして福井県内の国道8号では、この雪の影響で約1500台のクルマが立ち往生しました。もともと国道8号自体のキャパシティがさほど大きくなかったこともあって、その混乱はなかなか収束せずその後数日に渡って8号線は通行止めとなってしまったのです。(関連記事 – ウインタードライブ 駐車時のトラブルを回避!
 
このニュース覚えている方もきっと多いはずです。北陸はもともと雪の降る地域ですから、雪に対する備えや心構えなどができていたでしょう。それでも、この有様です。それだけ桁違いの大雪だったということです。実際、福井市でこの数日で記録された積雪の量は147cm! これは37年ぶりに記録だったといいます。この数字を見ても、いかにこの時の大雪が想定外のレベルであったのかが分かります。
 
 

大雪による通行止めの中二人の男性を死亡状態で発見

 
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この大雪による通行止めに巻き込まれた1500台のクルマに乗っていたドライバーは、ほかに抜け道などがない状況ですから、車中泊を余儀なくされていたようです。これはそうとうに不便だったでしょう。
 
幸い企業などの協力や地元の住民のボランティアどのもあって、飲料水や食べ物などには困らなかったようですが、キャンピングカーなどのように断熱されていない窮屈なクルマの中で寝るというのは想像以上のストレス。寒さも相当だったはずです。
 
寒さや不便さに耐えかねて、一部のドライバーの方は車中でなく、付近の施設に移動してそちらで宿泊されたようです。しかし、トラックドライバーの方などは、荷物を出来る限り早く目的地に届けなくてはいけないという使命感もあり、また、いつ解除となるかわからない通行止めに備えなくてはならず車中で宿泊した方が多かったようです。
 
そして、そんな大雪が発生していた福井県おいて、残念ながら雪に埋もれたクルマから50代の男性と19歳の男性が死亡した姿で発見されるという事故もありました。一酸化炭素中毒と低体温症が死因と見られているとのこと。19歳の男性のケースでは、本人によって、身動きができなくなったので救助してほしい、という110番通報もあったのにも、情報の行き違いなどで救助されることがなかったとのことです。本人や家族はさぞや無念であったことでしょう。
 
 

自覚の無いまま最悪の事態に一酸化炭素はサイレントキラー

 
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この大雪による死亡事故、その死因は “一酸化炭素”とみられる、という報道がなされましたが、その一酸化中毒について、皆さんはどれだけご存知でしょうか。前述したような雪に閉じ込められた場合のほか、締め切ったガレージ内などでも過去には一酸化中毒による死亡事故がありました。
 
きっと、このように死亡につながる非常に危険なもの、という認識はあっても、一酸化炭素中毒のことについては、おそらくあまり知っている、という人はいないのではないでしょうか。そこで、自らが被害にあう可能性もある、そんな知っておくべき一酸化炭素中毒について、あらためて調べてみました。
 
まず一酸化炭素とはどういうものか? 簡単に説明すると、モノが燃焼する際に完全燃焼なら通常二酸化炭素が発生します。しかし、酸素が不足している状態では、不完全燃焼を起こし、発生するのが一酸化炭素です。ちなみに一酸化炭素無色で無味無臭のため、もし発生していても普通は気が付きません。
 
そして、この一酸化炭素は血液中のヘモグロビンと結びつきやすい性質を持っています。ヘモグロビンは、全身の細胞や組織に酸素を送り届けるという重要な役目をもっています。しかし一酸化炭素を吸い込んでしまうと、酸素よりも先に一酸化炭素がヘモグロビンと結びついてしまう。
 
するとヘモグロビンによって本来運ばれる酸素の運搬量が減り、全身の細胞や組織が酸素不足におちいってしますのです。そしてついには窒息死酸素不足の状態に陥り、窒息死という最悪の事態に。一酸化炭素が発生している状況ではいくら呼吸をしていても体内に酸素が供給されません。これがいわゆる「一酸化炭素中毒」と呼ばれるもの。
 
一酸化炭素はほんの少しでも吸い込んでしまうと気づかないうちに中毒になる危険があるのですが、そもそも吸ってしまっているということにも気が付きにくいのです。そして自覚がないまま危険な状態に陥ってしまうという大変怖いもの。自覚の無いままに最悪の事態になってしまうことから、別名「サイレントキラー」とも呼ばれています。
 
 

助かっても後遺症が怖い 一酸化炭素中毒の症状とは

 
Exhaust pipe with smoke emission. Air pollution concept.
 
その症状は、初期は軽い頭痛や疲労感などが感じられるようになり、やがて症状が進むと激しい頭痛やめまい、耳鳴り、吐き気などが起きます。そして、重症になると意識障害や痙攣が起きて、最後には昏睡状態に陥ります。そして最悪の場合に心肺機能が停止し、死に至るというわけです。
 
一酸化炭素中毒は、なんとなく頭痛がするな、など初期の自覚症状を感じたときには、すでに大きなダメージとなっていて、思うように身体が動かせなくなっていたということもあるといいます。想像以上に大変怖いものなのです。
 
また、最悪の事態を免れても一酸化炭素中毒には後遺症もあります。その症状は記憶障害、行動異常、知能の低下、感覚障害など。さらに数年後に認知症として症状が現れる場合もあり、そういった点にも注意が必要です。
 
もし自分自身に一酸化炭素中毒の症状が現れたことに気が付いた場合は、すぐにエンジンを止め、一酸化炭素をそれ以上吸わないようにタオルやハンカチなどで鼻と口を覆い、クルマの外に出て新鮮な空気をすってください。
 
また、誰かを救助する場合は、救助する側が中毒にならないよう鼻や口元をタオルなどで覆うか、息を止め、エンジンを切り、おなじようにすぐに新鮮な空気を吸える場所まで運び出します。中毒症状を起こしている人は体内の酸素が減っているので、わずかな酸素を消費させないよう、なるべく当人を動かさないようにしてください。
 
このようにそんな恐ろしい中毒症状を引き起こす一酸化炭素。先ほどは不完全燃焼によって発生すると説明しました。しかし、実はクルマのエンジンの排気ガスには、不完全燃焼でなくとも一酸化炭素が一定量含まれています。そのような排気ガスを浄化する“排気ガス浄化装置”がクルマには搭載されていますが、この装置は一定温度以上になってはじめて機能が働くというもの。低温化ではその機能は低下してしまいより一酸化炭素が発生しやすくなってしまうのです。
 
今回の事故では、大寒波で気温が下がった上、クルマの周囲も雪で埋まってしまい、その状態でエンジンをかけていたために車内の一酸化炭素の濃度通所よりも増えたのでしょう。大雪によって大変危険な環境になっていたわけです。
 
JAFによるテストでは、雪に埋まった状態では排ガスの一酸化炭素はクルマの体の下に溜まり、エアコンの外気導入口を伝って車内に吸い込まれていくことが確認されています。そして16分後には一酸化炭素の濃度が400ppmに上昇。さらに、6分後には1,000ppmに達したといいます。
 
これは、人間が吸い込むと、なんと3時間ほどで死にいたるというレベル。じゃあその場合は内気循環にしておけばいいのかというと、それでも周囲が雪に囲まれ、一酸化炭素の逃げ場のない状態では車体の隙間などから排ガスが車内に入る危険性があるので危険なことにはかわりません。
 
 

基本は除雪を欠かさないこと 防寒具などの準備も考えよう

では、今回のような大雪で立ち往生してしまった場合、ドライバーとしてはどうすればいいのでしょうか? まずは雪に埋もれてドアが開かなくなる前に、外に出て最低でもマフラーの周辺を除雪することです。前述の大雪での一酸化炭素中毒事故は、ドアまで雪に埋まり外に出られなくなっていたためそれができなかったのではという情報もあります。そうならないようにドアが開閉できるのかは常に確認します。
 
雪が降り続き、除雪してもきりがないという場合でも定期的な除雪をしなくてはいけません。JAFのテストでは、ボンネットの上まで雪で埋まってもマフラー周辺を除雪しておけば、車内の一酸化炭素素濃度はほとんど上がらないという結果が出ています。効果的なのは確かです。
 
今回のような雪の中では、あっという間にマフラーも周囲も雪で埋まってしまうこともあるでしょう。そうなった場合は可能であるなら、エンジンを切るようにしておく。これでリスクは確実に減ります。また、燃料の消費も節約できます。
 
とはいえ大寒波の中、暖房なしで車中泊はこれも危険です。暖房をなくても寒さに耐えられる準備をしておくしかありませんね。降雪地帯にお住まいの方、または雪国にドライブする際は万が一に備えて、冬場は除雪用のスコップや防寒着、毛布、寝袋など車内に用意しておくのがいいかもしれません。
 
一酸化炭素中毒は、気が付いたときには手遅れで、最悪の場合は気づかないまま死に至るという危険さえあります。そんな危機を回避するためには、ここで紹介した一酸化炭素中毒の症状を把握しておき、わずかでも異変を感じたらすぐに外に出て新鮮な空気を吸うことです。
 
また大雪に埋もれてしまったら除雪や雪かきをして、車内の一酸化炭素の濃度が増えるリスクをできる限り減らすこと。加えてエンジンを切っても寒さに耐えられるような防寒対策をとっておく。降雪地帯にお住まいでないと、何を底まで…、と思うかもしれませんが、近年の記録的豪雪を考えれば、そこまで万全を期しておくのが賢明かもしれませんよ。(関連記事 – 危険がいっぱい!雪道ドライブのトラブルの回避、対処方法とは