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気がついたら塗装のつやが消えた!紫外線による侮れないダメージ

筆者の住まいのすぐ目の前には月極の駐車場があります。40台ほど停めることのできる都内にしては結構大きな駐車場です。長く空きが無いため筆者は底に止めていないのですが、そこに駐車しているクルマの一台に赤いボディの軽のワンボックスカーがあります。今時赤いクルマって珍しいですが、実はこの軽ワンボックスは郵便局のクルマです。なので赤なのですね。多分局内に停めるスペースが不足しているのでしょう、数年前からこの民間の駐車場に駐車しているのを見かけるようになりました。
 
その軽ワンボックスは、ほぼ新車のときからそこに停めているので年式はそれほど古いものではありません。なのにとても古臭く見えるのです。となりに新車の赤いホンダNBOX(これも郵便局の営業車です)が停まっているのでその対比もあってとにかく古臭いのです。年式やモデルが違うからというのも多少はあるでしょうが、でも決定的な差はそこではないのです。そのわけは、塗装がびっくりする位に色あせているからです。
 
たしかここに停めるようになったばかりの時は光沢の有るキレイな赤だったはず。それなのに今では赤というか、くすんだピンクがかったワインレッドというか、鮮やかさはまったくありません。そして、完全につや消しのマットな状態になっています。樹脂性のバンパーにはまだ光沢があるのですが、ボディのほうにはまったく光沢がありません。
 
洗車は多分おこなわれているようなので汚れているわけではありません。とにかくツヤがないのです。いくらなんでも数年でここまで色があせてしまうとは驚きです。どうやらこの色あせ紫外線によるダメージが原因のよう。なにせこの駐車場、屋根が無いので日差しが直接あたるのでこうなってしまったのですね。これは極端なサンプルかもしれませんが、紫外線による塗装へのダメージは、このように思いのほか侮れないものなのです。
 
 

クルマはどのように塗装されているのか

 
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人の肌に対しても日焼けというダメージを与える怖い紫外線。クルマのボディにもこのように侮れないダメージを与えるということが、このサンプルをみても分かってもらえたと思います。それでも以前に比べてクルマの塗装やクリアコートの被膜は強くなっているので、常に直射日光が直撃するという環境でもない限りはなかなかここまでツヤがなくなるということもありません。
 
でも、場合によっては、自分の大切な愛車にもこのようなことがおこりかねないとなれば、予防のためにクルマの紫外線対策を忘れずにやっておくのが懸命でしょう。特に紫外線が強くなる5月から9月にかけてはカバーをかけるなど気をつけておくべきです。もし前述したように愛車が赤系のボディカラーの場合ならなおさらです。
 
ではなぜこのような色あせがおきてしまうのか?それにはまずクルマの塗装の説明が必要ですね。通常クルマのボディ塗装はロボットによって行われています。
 
最初に下塗りが施され、中塗り、上塗りがあり、さらにベース塗装の上にクリアコートが施されて大体3~5層に塗り重ねられています。この膜の厚さは約0.1mm(100μm/マイクロメートル)と非常に薄いもの。これでボディをサビなどから守っています。一番上のクリアコートはボディにツヤを与えるとともに、紫外線や酸性雨、鳥の糞などの外部要因からクルマを守り、傷つきを防止しています。もちろんクルマを美しく見せる演出の効果もありますね。
 
一番下の下塗り塗装は電着塗装といって、塗料で満たされたプールにボディシェルをドブンと浸からせて、隅々までコートします。その役目は主に防錆、つまりサビ防止ですね。
 
次に中塗りです。下塗りでできたわずかな凸凹をならし、上塗りの発色がよくなるようなベース色を施します。これらはロボットによってスプレー塗装されます。この中塗りのベース色も、上塗りのカラーによって変えられています。そして白、黒、赤、メタリックやパールカラーなどの上塗りで本来のボディカラーを塗り、最後にクリアでコートします。
 
クルマの塗装に使われている塗料は樹脂、顔料、添加剤などからなり、樹脂はアクリル樹脂、ウレタン樹脂などがつかわれています。このように手間をかけて塗装が施されているのに、なぜいまだにボディの色あせが起きるのでしょう。
 
 

赤いボディカラーが色あせてしまいやすいのはなぜか

 
極端に劣化したボディ
 
塗装の色あせがおきるメカニズムを簡単に説明します。まず、原因は紫外線と最初に書きましたね。紫外線とは太陽光からもたらされる光、そして光というのは電磁波の一種です。
 
その電磁波である光の中でも、最も波長の短いのが紫外線です。波長が短いということはそれだけたくさん地表に届くということです。つまり紫外線は光の波長の中でも特に大きなエネルギーをもっているのです。
 
その紫外線(を含め光が)物質(この場合は塗装ですね)に当たると、あったものの分子や結晶が共鳴振動を起こします。そして振動によって熱エネルギーを発生し、色をのもととなっている樹脂の分子結合を破壊してしまうのです。その結果、クリアコートの表面から徐々に塗装が破壊されてゆき、粉化現象(チョーキング、表面がチョークの粉をふいたようになる現象)が起こり、最終的に塗装の深部にまで達して、ボディの光沢がなくなり色あせてしまうのです。
 
劣化は徐々に進んでいき、気が付いたたら光沢塗装だったのにいつの間にかつや消しに!などいうことになってしますのです。
 
光、可視光線というのは赤外線から紫外線の間の紫~赤の光ですね。両端が赤と紫です。その中で、赤というのはもっとも波長の長い色です。そして人の目に赤い色が見える仕組みは、赤が青い光を吸収して、赤い色を反射しているため。つまり赤というのは波長の短い青から紫外線の波長を他の色よりも多く吸収してしまうのです。
 
たくさん吸収するということは、つまり樹脂の分子結合もそれだけ破壊されやすいということ。そのために赤い色はほかの色よりも色あせ、退色を起こしやすいということなのです。これはクルマの塗装に限りません。例えば、標識やお店の看板などで、赤い色で書かれた文字だけが退色して見えなくなってしまっているのを見た記憶はありませんか?つまり愛車のボディカラーに赤を選んでしまった限り、紫外線による退色は避けられないということ。できることは、極力日光に当てないこと。ボディカバーの使用や、車庫保管が必須ということなのです。
 
では色あせにくい色とは?赤をはじめ濃度の高い色は紫外線や熱を吸収しやすいといわれています。ということは光を反射してくれる色が一番色あせにくいということ。紫外線を含め日光を反射してくれる色といえば白やグレーですね。特に白い塗装はそもそもあせても目立たない。きっとそんな理由があって、営業車やトラックなどに多いのでしょう。またコスト的にもリーズナブル(ベースカラーとしてたくさん作られているから安い)ということもあるはずです。
 
ならばクルマのカラーは白やグレーにするのが正解?いえ、そんなことはありません。好きでもないのにそれだけの理由で白いクルマを選ぶのはつまらないですよね。ちゃんと紫外線からボディをカバーし、キチンとケアをしておけば、ほかの色、例えば赤であっても色あせを防ぐことは可能なのです。
 
 

とにかくボディを紫外線にさらさない 洗車やコーティングも欠かさずに

では、ボディの色あせを防ぐにはどうしたら良いのか?何よりボディの一番上に塗られているクリアコートの劣化を防ぎ、極力紫外線をあてないのが一番ですね。
 
ということは普段から雨やホコリ、日差しを完全にさえぎることのできる車庫やカーポートに保管するのが何よりもベストです。でも、筆者のように月極の駐車場を借りているという方も少なくないでしょう。その場合はボディカバーをかける習慣をつけるといいでしょう。ただし、クルマやカバー自体が汚れている状態でボディカバーをかけてしまうと、かえってボディにキズなどをつけてしまうこともあるので注意が必要です。
 
では、すでに色あせてしまっていたら?初期段階であれば磨きなおしすることも可能です。市販のケミカルにもこういったものがあります。
 
ダメージがそれほど進んでいない状態なら試してみる価値はあるでしょう。それ以上であれば、コーティングなどを行っているショップに相談してみてください。
 
ただ磨きなおしで補修はできても、一度劣化が始まってしまうとクリアコートの保護機能がもろくなっています。以後は確実に色あせしやすくなっているということを頭に入れておきましょう。
 
ということでやはりボディカバーは必須です。また、雨や泥、ホコリなどが付着してしまったらできるだけ落とすようにします。そしてボディーコーティングやワックスを定期的に施工してクリア層の上に、さらにコーティングやワックスなどの保護層を作るようにしてください。
 
カーコーティング剤の中にはUVカットをうたったコーティング剤もあります。こういったものは、それなりに効果はありそうですが、実際には透明の層なので過度な期待はしないほうがいいでしょう。
 
とはいえやらないよりは絶対に良い。元々のクリアコート自体を保護する効果は間違いありませんし。ようはコーティング剤が塗装の一番上の層であるクリアコートに変って雨や鉄粉、ホコリ、さらに紫外線などのダメージを引き受けてくれるということ。コーティングなので被膜が劣化したら再度施工すればいいだけです。自分でやるのが面倒というなら、費用はかかりますが、耐久性が期待できるプロによるコーティングの定期的な施工がオススメです。
 
こういった対策を行えば、絶対とはいいませんがクルマの色あせを防ぐことができます。ようはクルマのボディを常にキレイに保ち、極力紫外線をさえぎるということですね。赤をはじめ濃色のボディカラーのクルマに乗っている方は是非こういったことを実践してみてください。