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車両?歩行者?いったいどっち?意外と知らないシニアカーの真実

お年寄りが乗り、歩行者といっしょにのんびり歩道を走っているイメージのシニアカー。スクーターのような、電動車いすのような、お年寄り(足腰の不自由な人にも便利ですね)の行動範囲を拡大してくれるかわいらしい乗り物です。筆者は身近に乗っている人がいないので、普段あまり気に掛けることもなかったのですが、先日、歩いていた自分を、するすると想像以上の速度で抜き去っていくシニアカーをみて、「あれ、結構速いな?」と、その意外な速度にあらためて気が付いたのです。
 
とはいえシニアカーが実際どれくらいの動力性能を持っているのか? そもそも制限速度などはあるのか? 普通に歩道を走っているけれどそれって本当の適法なのか? 知らないことだらけだということに気が付き、ちょっと調べてみることにしたのです。するといろいろなことが分かりました。
 
まず気になったその速度に関して。日本のルールでは6km/hまでしか出ないようになっているということがわかりました。つまりあの時のシニアカーは最高でも6km/h以下であったわけですね。
 
では6km/hというのはどれくらいの速度なのかというと、一般的な大人が早歩きをするよりもほんの少し早いくらい。速く感じましたがさほどではないのですね。ポジションが低く、スムーズな走りだったのでそう感じたのかもしれません。
 
 

シニアカーのギネスレコードは驚異の173.16km/h!?

 
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(出典:スズキ)

 
6km/hは絶妙な設定だと思います。ちょっと話は脱線しますが世界に目を向けると、とんでもない速さを持つシニアカーというのもあるようです。その速度は驚きの173.16km/h! もちろんノーマルではなく改造車なのはいうまでもありません。この速度は世界最速記録としてギネスブックに登録されており、作ったのはイギリスの王室属領であるマン島(オートバイ好きならマン島TTレースでおなじみですね)在住のメカニック、デイヴィッド・アンダーソンとマシュー・ハイン氏。
 
2016年に約400mの平均速度173.16km/hを記録してギネス世界記録認定を獲得しました。なぜにシニアカーをそんなに速くしてしまったのかは疑問ですが、とんでもない人たちですね。
 
ちなみにシニアカーではありませんが過去に、あのホンダが世界最速の芝刈り機を制作し187.6km/hというギネス記録を樹立しています。どっちがよりばかばかしいかは難しいところですね。個人的には面白いチャレンジだとは思いますが。
 
そんな速度記録を達成した改造シニアカーは、動力としてスズキのバイク、バンディット600のエンジンを搭載していました。ちなみにこのスズキは日本のシニアカー(スズキの商品名はセニアカー)の元祖と言われています。シニアカーの元祖であり、世界最速シニアカーのエンジン製造メーカーであるっていうのはなかなか面白いと思いませんか?
 
もちろんこんなシニアカーは例外中の例外。そもそもゲートボールのコートまでのお年寄りの移動手段として、スズキが作ったのがセニアカー(シニアカー)なのです。今では足腰に不安のある方やお年寄りに欠かせない足としてすっかりおなじみになりました。そんな普通のシニアカーの動力源はエンジンではもちろんなく普通の電動モーターです。そして、日本の道路交通法では車両ではなく歩行者扱いとなります。
 
ということは、車道ではなく歩道を走るのが正しいという事ですね。しかし、筆者自身もそうでしたが、そのことをキチンと理解しているという人はおそらく多くはないのではと思います。そのため、歩道を走るシニアカーを見て、眉をしかめる人や、場合によっては「車両なんだから車道を走れ!」などと勘違いして注意をする人もいるのだとか。そういったことに、あなたがもし心当たりがあるなら、今後はあらためましょう。
 
 

あくまで歩行者。保険加入の義務付けがないシニアカー

 
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道路交通法上は歩行者、ということは、そのままスーパーやコンビニ、ショッピングモールなどの店内に入ってもいっても、基本的にはOKということです。こういうことも意外に知らないですよね。確かに筆者も思い起こせばシニアカーでお買物をしているお年寄りを見かけた記憶があります。
 
ただし、だからと言ってもどんな場所にも入っていっていいかどうかは判断が難しいところ。気になる場合は個々の施設管理者に確認するのがベターなのでしょう。
 
また、歩行者扱いということは、もし、万が一歩行者とシニアカーが衝突事故を起こしたとしても、それは交通事故ではないと判断される可能性が高いのです。
 歩行者であり免許も不要であくまで電動車いすなどと同じ扱いなのですからクルマのような保険の加入義務もありません。装備重量で100kg前後、それプラス乗員の体重が50~60kgとして、約150kgもの重さの物体が時速6km/hで衝突すれば、かなりのダメージが予測されます。でもそれで大きなけがをしたとしても保険でカバーされない可能性もあるわけです。過去には損害賠償訴訟に発展している例もあったといますから注意が必要かもしれません。
 
シニアカー対象とした保険というのは残念ながら現状ではスズキが自社のセニアカー(シニアカー)向けに設定しているものくらいしかないようです。もし家族でシニアカーを利用される方がいて、それがスズキのものでない場合はどうすればいいか。
 
考えられる方法としては例えば住宅総合保険の日常生活賠償補償特約(他人に怪我や損害を与えたときに支払われる特約)や、火災保険や自動車保険、傷害保険などの日常生活賠償補償特約を付帯するというくらいでしょうか。高齢化社会がさらに進めば、今後は保険の加入が義務づけられるかもしれませんが、現状ではこういった保険の特約などを利用するしかないでしょう。こういったことも気を付けておきたいですね。
 
 

立ち往生している現場に遭遇したら?シニアカーの操作方法

シニアカーの操作方法はとても簡単です。電源スイッチを「入」に入れてアクセルレバーを握れば進み、放せば自動で電磁ブレーキがかかって止まります。ブレーキは手動のものも別に装備されています。速度は正面の操作パネルのダイヤルであらかじめ設定しておきます。クルマやバイクなどのようにアクセル操作で速度の変更はできずレバーを握ればその速度で走り続けます。最高でもその速度は6km/hまで、というのは前述しましたね。モーターで後退も可能でホーンやウインカー、バックミラーなども装備されています。
 
バッテリーの充電は家庭用電源に繋ぐだけで簡単に行え、フル充電状態では、メーカーによると約17~27kmくらいの距離を走ることが可能ということです。バッテリーの残量は一目で分かるようになっていますが、不注意でバッテリー不足から出先で立ち往生してしまうというトラブルも起きているようです。
 
シニアカーはキーを抜くと自動的にロックがかかり押しても動かなくなってしまうのですが、キーが刺さった状態なら押して動かすことも可能(できないものもある)なはず。目の前に立ち往生して困っているシニアカーを見かけたら、声をかけ、まずはバッテリーの残量を見てバッテリーが切れていたら危険のない場所までシニアカーを押して移動してあげてください。おそらく歩行に不安があるからこそシニアカーに乗っているはずなので、お年寄りは乗車してもらったまま押してあげるのが良いでしょう。
 
あとは携帯電話などをもっていればご家族などに連絡するよう促すか、バッテリー切れに対処してくれる業者の連絡先がシニアカーに貼付されていれば、そこに連絡してあげるのがいいでしょう。機械に不慣れなまま乗っている方も少なくないはず、あなた自身ができる範囲で不安を取り除いてあげてくださいね。
 
このように、あらためて調べてみると、見かける機会は多いはずなのに、シニアカーの公道上におけるその位置づけや特性、保険などのことなど意外に知らないことが多いことが分かりました。とはいえいずれ身近な家族や自分自身も乗る機会があるかもしれませんから、事前に正しい知識を持っておいて損はないでしょう。
 
それに、まだまだその理解は進んでいないので歩道やショッピングモールを走るシニアカーを見て顔をしかめる人がいるかもしれません。そんなシーンに遭遇したら、シニアカーは電動車いすと同じ歩行者扱いなのであれで正しいのですよ! とこの記事を読んだあなた自身が、次は正しい知識をその人に教えてあげてみてはいかがでしょうか。