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国産ネオクラシックカーの人気を後押し 自動車メーカーの新たな取り組みとは

(このファイルはクリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0 ライセンスのもとに利用を許諾されています。ファイル名:TOYOTA 2000GT.jpg/投稿者: Gnsin~commonswiki )
海外では、かつてないほどに日本のモダンクラシックカーの人気が高まっています。代表的なものではトヨタの名車2000GT。あまりにも稀少で、日本でも現物はほぼ自動車博物館などでしかみることができない、いわば幻のクルマですが、日本以上にそのレアなクルマが海外で人気を集めています。
 
例えば、近いところでは2016年にオークションで、99万9500ドル(1億800万円 2017年8月のレートで換算)の入札を受けて落札されたというニュースがありました。過去のオークションでも100万ドルの大台超えなど2000GTはもはや一億円以上の価格が当たり前、現存する個体自体が少ない(試作車を含めて337台ほどといわれています)のでこれも仕方ないかもしれませんね。でも日本の誇る名車、できればなるべく日本国内に残しておいてもらいたいものです。
 
ただクラシックカーを愛でる文化は日本よりも海外の方が歴史も長く、そのノウハウや環境、人材なども整っているので仕方がありません。後世まで長く残してもらえるならむしろそのほうが良いのかもしれませんね。
 
日本は、悲しいかな古いクルマを維持しにくい環境です。例えば気候。季節による寒暖の差が激しく湿度も高い。金属でできたクルマの劣化がどうしても進みやすい。さらに税制も。古いクルマは環境負荷が高いから、という理由なのか新車登録から13年たつと自動車税や重量税がアップしてしまいます。古いクルマは廃車にしてエコな最新のクルマに乗れ!ということなのでしょうが、廃棄物の増加と資源やエネルギーの消費のバランスを考えると本当にエコなのかは正直疑問です。
 
欧米ではむしろ古いクルマに対して優遇処置を取っている例も少なくありません。例えばイギリスは1973年以前のクルマに対しては税金がかかりません。またドイツでもレストアされた30年以上前のクルマは自動車税が定額になり自動車保険も減額されるそうです。
 
やはり欧米は古いクルマに対して理解も深いことがわかります。これも文化の違いなのでしょうか。
 
 

名車揃いの80年代、90年代の日本車にも 世界中から注目が集まっている

 
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(このファイルはクリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0 ライセンスのもとに利用を許諾されています。ファイル名:Honda NSX reg 1991 2977 cc.JPG/投稿者: Charles01 )

 
トヨタの2000GTや日産のスカイラインGT-R、マツダのコスモスポーツなどといった、博物館クラスの名車の人気が海外でも高いのは、いわば当然ですが、実は最近80~90年代日本車、いわばネオクラシックカーともいえるクルマたちにも注目が集まっています。
 
この時代には、ホンダのNSXを筆頭にR32やR33スカイラインGT-Rやトヨタのスープラ、三菱GTOにマツダのRX-7、ロードスターなど数々の名車が誕生しました。バブル時期であり、湯水のようにコストがかけられ、優れたパフォーマンスと独特のデザインを持った魅力的なクルマが数多く揃っていたのです。
 
しかし、バブル崩壊を経て、今はエコカーが主流。国産車にはスポーツカー、GTカーはほとんどなくなってしまいました。そんな輝かしかった過去のノスタルジーもその人気に拍車をかけているのかもしれません。
 
さらにGT-Rなどはアメリカを中心に最近輸入が解禁になり高額で取引されはじめています。そのために程度の良い個体はつぎつぎ輸入され、おかげで日本の相場もどんどん上がってきています。もしあなたが80年代、90年代の憧れのクルマが欲しいというなら、今のうちに手を打っておいた方がいいかもしれません。
 
とはいえ、そういった古いクルマを維持してゆくことはなかなか簡単ではないですよね。メーカーからのパーツでてこなければ、故障したからと言って簡単に修理できないのが頭の痛いところです。
 
しかし、そんな人たちに向けてなのか、自動車メーカー各社が、絶版となった名車の補修や部品の再販のサービスを始めるといったニュースが先日発信されました。日本でも、国産ネオクラシックカーが見直され始めているのかもしれません。
 
 

自動車メーカー自身が絶版車の交換パーツを新規作成

 
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(このファイルはクリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0 ライセンスのもとに利用を許諾されています。ファイル名:HondaBeat.JPG/投稿者: 韋駄天狗)

 
例えばホンダです。今も人気の高いホンダの軽スポーツカーに「ビート」があります。1996年に絶版となった、軽自動車で、コストのかかったミッドシップオープンツーシーターでした。今のS660のご先祖ともいうべきクルマです。すでにパーツの供給がなくなっていたその部品の注文を、2017年の8月12日からあらためて受け付けると発表したのです。
 
実はホンダは2011年にも、同ビートのアクセサリーパーツを再販しており、その時はボディカバーやカーペット、エンブレムなどだったのですがあっという間に完売しています。その経験から人気が今も衰えていないことを実感していたのかもしれません。
 
でも今回はアクセサリーではなく純正部品。用意されるのはホイールにシートベルト、ヒーター部品など4種類を皮切りに、同年10月以降にはエンジンや内外装の部品など70種類に対応するそうです。
 
20年以上も前に絶版になったクルマであり、改めて金型から起こし直してパーツを作るものもあるとのこと。パーツ自体の価格は平均で当時の5割増しということ。ですがむしろ良心的な価格ではないでしょうか。
 
品質が保証されない中古パーツではなく、安心の純正パーツが新品の状態で使えるのです。オーナーにとってはこんなにありがたいことはないでしょう。これでまたしばらくはビートのあの独特の走りをオーナーは楽しむことができるでしょう。
 
また、これからビートを所有してみたい!と考えている人にも、決断を後押ししてくれるトピックではないでしょうか。さすがバイクでも過去の車両のパーツ供給で定評のあるホンダですね。
 
 

マツダが初代ロードスターのレストアサービスをスタート

 
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さらに、そのホンダよりも一歩踏み込んでマツダは、バブル時代の象徴ともいうべき「ロードスター」をメーカー自身がレストアするサービスを2018年からスタートすると発表しました
 
ロードスター(発売当時はユーノスロードスター)といえば現在も新車としてラインナップされているマツダを代表する小型のオープンスポーツカーです。今回対象となるのは、今もファンが多い、その初代、いわゆるNAロードスターです。
 
初代ロードスターはコンパクトで手頃な価格の2シータースポーツカーという、当時すでにすたれていたジャンルを復活させたクルマとして、発売直後から世界中で大ヒットを記録した名車でした。
 
その大ヒットを受けてBMWがZ3を、ベンツはSLKをリリースするなど、世界中に小型オープンツーシータースポーツというジャンルのブームを巻き起こしたいわばこのジャンルのパイオニアだったのです。
 
なんと2000年には生産累計53万1,890台を達成して「世界で最も多く生産された2人乗り小型オープンスポーツカー」としてギネスブックの認定を受けたといいますからその人気は桁違いのものでした。
 
以後モデルチェンジを重ね、現在は4代目モデルに進化しています。その4代目の販売台数は残念ながら初代モデルとは比ぶべくもないのですが、これは当時とは時代が違うので仕方ありません。価格は高めですが、とてもまじめに作られているので評判はいいのですが…。
 
やはり今もロードスターの人気は初代が最も高いようです。実際街中でも未だに走っている姿を見かけますよね。中にはピカピカにレストアされたものもありますが、多くはあまり状態の良くないモノばかり。発売から30年近く経過しているので、純正パーツもなかなか出てきませんから無理もありません。
 
しかし未だに多くの人に愛されている、そんな初代ロードスターを、メーカーであるマツダ自身がレストアするというのですからすごい。車体の状態や所有者の希望に応じて、部品の交換や修理などを引き受け、オリジナルに近い状態にまでレストアをしてくれるというのですからとても楽しみです。
 
マツダの地元である広島県広島市の本社には、そのための工房を新たに設立。2017年内に受付を開始して、2018年の初頭からサービスがスタートする予定になっています。幌やタイヤ、当時人気だったNARDIのウッドステアリングなどといった消耗パーツも新たに現在の技術を取り入れたうえで復刻、完全にリフレッシュしてくれるといいますからこれはうれしい。
 
初代ロードスターのオーナーも、また伝説となっている新車当時の初代ロードスターの走りを味わってみたいという方も、このマツダの初代ロードスターレストアサービスには注目ですね。
 
 

過去の名車をメーカー自身が見直すことがファンや自動車文化を育てることに

他にも、噂では日産がスカイラインGT-R(R32)のパーツをはじめ、同社の人気ネオクラシックカーのパーツを再生産&供給を開始するともいわれています。こちらも非常に楽しみです。
 
自動車メーカーとしては、新車を販売することに比べてパーツの再生産やレストアサービスは決して高い利益が見込めるものではないでしょう。むしろ赤字になるかもしれません。しかし、自動車文化を育てていくという意味では、こういった活動はとても意義のあることだとは思いませんか。
 
日本は、世界一の自動車メーカーであるトヨタを始め、複数の自動車メーカーを持つ稀有な国です。しかし主力が大衆車であったためか、今まではただ作って売るだけ、といったイメージがどうしてもありました。でもブランドの価値の構築や、ファンの生み出すにはこういった活動が今後は絶対必要になってくるはずです。
 
実は欧米の高級自動車メーカーであるベンツやフェラーリ、ポルシェなどは、すでにこういったレストアサービスをはじめていました。言い方は悪いですが今回のトピックはそれをまねたもの、ともいえるのですが、大きな違いはビートやロードスターは高級車ではなく、あくまで日本のお家芸である大衆車であるということ。
 
高級車ならレストア=投資になるかもしれませんが大衆車は、かけた費用分の利益が見込めるかは未知数です。しかし大衆車で世界に進出し、ファンを生み出して今の地位を築き上げた日本のメーカーが、そのファンの要望に応えて自社の過去の名車のパーツを作り、レストアをするというのがとても大切なことのです。
 
こういった地道な取り組みは、すぐに利益を生むことには繋がらないでしょう。しかし、続けていくことで自動車メーカーのブランドの価値を高め、新たなファンを生み出すことになるのではないかと筆者は思います。