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一番安い軽自動車、一番高い軽自動車とはPart.1

あなたが次に購入しようと考えているクルマとは、どんなものですか。経済性やリセールを考えてやはりハイブリッドカーでしょうか? それとも今後を見据えてEV(電気自動車)ですか。はたまた家族を思えばミニバンの実用性も捨てがたいですし、いっそSUVという選択も悪くないですよね。
 
想像していると夢は広がりますが、決して景気が良いとはいえばない今のご時世では、シビアに考えると軽自動車というのが現実的な選択になるのでしょうか。
 
世の人たちもそう考えているのか、先日ネットニュースでこんな話題が取り上げられていました。それは、2016年末から2017年初頭までの連続3か月間で、軽自動車のNボックスが普通車を含めた新車登録台数でナンバーワンを獲得したというものです。
 
決して最新のクルマというわけでもないのに、いわゆる普通車と軽自動車トータルでのナンバーワンですから、ホンダのNボックスの人気はすごいですよね。ちなみにこのニュースでは2位も日産のデイズという軽自動車であったということですから、やはり軽自動車の人気は相当なモノであるというのは間違いないようです。
 
 

経済性が高いから売れる?今の軽自動車は実は安くない?

 
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(出典:Honda)

 
筆者が持つ軽自動車のイメージは、動力性能には我慢が必要だけど、お手頃価格で燃費など経済性にも優れ、見た目以上に広々快適でリセールバリューも期待できるというものです。実際、前述のホンダNボックスはその室内空間に広さは見事なモノ。
 
幅こそ軽自動車規格の制限があるので限られていますが、足元や頭上空間のゆとりはコンパクトカークラス以上に確保されています。もちろんボディサイズは軽のものですから取り回しもしやすく、箱型ボディは四隅も把握しやすく狭い駐車場でもストレスなく運転できるでしょう。
 
エンジンは当然660ccですので、動力性能的には余裕あるとはいきませんが、高速道路を制限速度いっぱいで巡航できるくらいには快適です。これだけ魅力があって経済性も高く、お買い得なら売れるのも当然…、と思ったのですが、調べてみるとその価格に関しては意外というか決してお買い得とは言い切れないようです。
 
例えば前述のNボックスの価格ですがエントリーグレードで約120万円~、そしてターボの4WDならなんと180万円オーバー!というものでした。
 
売れ筋のミドルグレードで計算しても購入にかかる総額は軽く200万円オーバーです。改めて今の軽自動車の値段の高さに驚きました。車両価格だけでいえばトヨタのリッターカーパッソなどよりも高価格で、トヨタのハイブリッドカーアクアの中心グレードと変わらないくらいです。軽自動車の値引きの渋さを考えるとアクアと比べても総額では大きな差はないはず。
 
軽自動車はいつからこんなに高価なクルマになってしまったのでしょうか? かつては経済性を徹底的に追求した軽自動車というのもあったはずですが、いつの間にかなくなってしまったようです。
 
 

21世紀に登場した驚異の軽自動車「ツイン」その価格49万円!

 
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(出典:スズキ株式会社)

 
軽自動車の価格という面に改めてクローズアップしてみると、最新の軽自動車は思いのほか高価であるということが分かりました。では、軽自動車が現在の規格になって以降、最も安くかった軽自動車の車種は何で、その価格はいくらだったのでしょうか。また逆に最も高価格な軽自動車はどんな車種でいくらだったのでしょう。気になったので調べてみました。
 
まず最も安かったクルマです。それは2003年に華々しく登場し、たった2年であっという間に消えて行った伝説のクルマ、スズキ「ツイン(Twin)」でしょう。
 
発売当初の最も低価格なグレードは「ガソリンA」。そのプライスはなんと49万円でした。この49万円というプライスは、1979年に発売された初代アルトが、「アルト47万円」のキャッチコピーとともに爆発的に売れたことへのオマージュ的な意味合いもあったようです。同時におなじようなコンセプトの二輪車として50ccの原付スクーター「チョイノリ」も同時に発表されています。ちなみにこのチョイノリの価格は5万9800円でした。国内生産でこの価格はまさに破格! しかしリアサスペンションもないまさにちょい乗り用原付でこちらもあっという間にカタログ落ちしたことを覚えています。
 
では、ツインとはどのような軽自動車だったのでしょうか。登場からわずか2年で消えてしまったいわば幻の迷車でしたのでご存知ない方も多いでしょう。
 
まず見た目がとてもユニーク。フォルムはまるで球体で全体に丸っこく、ヘッドライトやテールライトも真ん丸でかわいらしいもの。そして全長が極端に短いのが大きな特長でした。軽自動車は規格として4人まで乗車可能ですが、このツインはその名の通り2人乗り専用、つまりツーシーターだったのです。
 
かといって、現在のホンダS660やダイハツコペンのようなスポーツカーでは決してなく、短距離の移動にターゲットを絞ったシティコミュータでした。そのため全長はわずか2,735mmです。現在の軽自動車の全長は3,400mm以下と決まっていますが、それよりも665mm、なんと60cm以上短かったのです。1,997年に発売され世界的注目を浴びた、ベンツのスマートを軽自動車にしたようなものといったら分かりやすいでしょうか。
 
 

市販の軽自動車で初となるハイブリッド車 でもガソリン車との大きな価格差で売れず

 
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(出典:スズキ株式会社)

 
ツインは低価格で車体は極端にコンパクト、エンジンは660ccのガソリンエンジンと、市販軽自動車としては初となるハイブリッドシステムを搭載していました。市販軽初のハイブリッドということで専門誌だけでなく、ニュースや新聞でも取り上げられ大いに話題なりましたが、49万円の「ガソリンA」に対してハイブリッドモデルの「ハイブリッドA」は129万円と2.5倍もの価格差だったのも話題になりました。
 
そのハイブリッドモデルが搭載するバッテリーはニッケル水素やリチウムなどではなく、なんと鉛蓄電池。いわゆるカーバッテリーと同じものです。これを16個搭載し直列につないで192V得、走行をアシストするというモノでした。現在のハイブリッドカーのようにモーターだけの走行は出来ない簡易ハイブリッドで、ガソリン車よりも燃費は良くなりますが、ただでさえスペースのない荷室をこのバッテリーが埋めてしまうため積載性が極端にスポイルしてしまうというものでした。
 
ツインの49万円は確かにインパクトがあったのですが、結果的には売れませんでした。ガソリン車が売れなかったのですから、ハイブリッドカーはそれ以上に不人気車。確かに日本は1997年以降デフレ傾向が続き、リーズナブルでお買い得なアイテムの人気が高まっていたのですが、そんな市場のニーズにツインは当てはまらなかったのです。
 
語弊があるかもしれませんが、市場は安くてお得なモノは求めていたけれど、安いばかりでお得ではない(お得に感じられない)安物には振り向かなかったのです。当時ツインの記者発表に参加した筆者は実際に壇上に飾られたツインこの目で見て、とにかくコストを削ったであろう安物感を遠目からでも強く感じたことを覚えています。近づきドアを開け乗り込むと、「ああ、これは売れないだろうな…」という感想を持ったものです。
 
ツインのガソリンAは車両価格49万円は驚くほど安い設定でしたが、MTのみで、さらに現代のクルマに必須な装備のエアコンやパワステ、パワードアロックやラジオ、さらにはスピーカーやアンテナまでもが搭載されていなかったのですから売れるはずがありません。
 
そんな「ガソリンA」に対して、エアコン、パワステ、キーレスドアロックなど最低限の装備を搭載した一つ上のグレート「ガソリンB」、いわば売れ筋グレードの価格はなんと84万円です。普通に使える軽自動車が欲しいなら結局ガソリンBを買うことになり、そうなると、ツインはこのように決してお得ではなかったわけです。
 
加えて当時同じスズキの量販車種であったアルトには79万650円の設定で、3ATにマニュアルエアコン、パワステ、パワーウインドー、集中ドアロック、カセットステレオなど必要な装備が一通り標準化されたものが用意されていました。もちろん軽自動車の規格いっぱいの全長を持ち、4人乗車も可能でトランクスペースもある実用的な軽自動車です。同じディーラーに、この2車が並んでいたらどちらを購入したいと思うでしょうか? 答えはいうまでもないですよね。
 
 

時代のあだ花「ツイン」はわずか2年でカタログ落ちに

結局ツインの49万円という価格は、あくまで見せかけのものでしかなかったという事でしょう。はじめからセンセーショナルな登場感を演出して、市場にインパクトを与えることが目的だったのかもしれません。
 
そのことがうかがえるエピソードとして、わずか半年後にはこの49万円の「ガソリンA」というグレードは廃止となりました。そして、すぐに「ガソリンAエアコン/パワステ付」というグレードが設定されています。
 
ちなみに、この新規に設定された「ガソリンAエアコン/パワステ付」の価格は65万円でした。比較すれば前述のアルトよりはリーズナブルになっていますが、2人乗りであることは変わりません。ツインはその後もほぼ半年ごとにグレードや装備の見直しや、外観へのテコ入れなどが行われましたが、結局ほとんど売れることなく、たった2年でカタログ落ちしてしまったのでした。
 
鳴り物入りで登場したハイブリッドモデルも当然ながらあっと言う間に消滅。最終的にツインの総生産台数は僅か1万106台というものです。皮肉なことに今となっては非常にレアな稀少車と言えるでしょう。もしかしたら10年後、20年後に伝説のクルマとして、迷車が名車に変わるかもしれません。今ツインを所有している方は、余裕があるなら手元に残しておいてもいいかも知れませんね。
 
結局軽自動車は小さいからこそわずかなスペースを活かした専用設計となり、部品も普通車と共用できない専用品が必要となります。無理に安いものを作ろうとすると、このツインのようにいろいろな面で無理があるということですね。軽自動車の価格が普通車と変わらないというのにもキチンと理由があるということです。
 
さて、ここまでで結構な文量を埋めてしまいましたので、最も高い軽自動車に関しては次回パート2として、紹介することにしましょう。