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ヨーロッパ車を中心としてターボ搭載車が増加している理由

ハイブリッドカーやEV車とならび、近年、特にヨーロッパ車を中心にターボ搭載車が急激に増加しています。それも、いわゆる過給によるハイハイパワーを狙ったスポーティカーというわけではなく、従来の感覚でいうと大き目の車体サイズには見合わない小排気量のターボエンジンを搭載したクルマ、いわゆる「ダウンサイジングターボ」と呼ばれているクルマたちです。
 
このダウンサイジングターボとは、文字通り小排気量のエンジンに過給機であるターボを装着したもののことなのですが、とはいえ単に小排気量ターボエンジン全てを指したものではありません。また、ターボのタービン自体が小さいというわけでもありません。
 
いったい何に対してダウンサイジングなのか、というと、ようは大型のセダンやSUV、ミニバンなど従来比較的大排気量のエンジンを搭載していたクルマに対して、以前ならコンパクトカーなどにしか搭載されていなかったような排気量の小さい、つまりダウンサイジングしたターボエンジンを搭載した上で、従来と同等の走りや質感、売れた燃費や低排出ガス化を実現したクルマのことを指してダウンサイジングターボ搭載車、といった風に呼んでいるのです。
 
ですので、小排気量エンジンのターボ車であっても、決して軽自動車の660ccターボエンジンはダウンサイジングターボとは言わないわけですね。
 
技術が進歩したことで、従来V63000ccやV8の4000ccといった大排気量自然吸気エンジンを必要としていたクルマ、例えばラグジュアリーなセダンでも、直列4気筒の1600ccや直列3気筒の1200ccなど小排気量のターボエンジンでストレスなく走ることができるようになった上、排気量が小さくなることで環境に与える負荷も小さくなるし、また軽量化や省燃費といった経済性の向上(エンジンやターボのコストに関してはむしろ上がっているとも言われていますが)なども期待できるなど、メリットも多いこともあって、採用するクルマがここにきて増えているのです。
 
 

コンパクトカー並みの小さなエンジンでクラウン並みのボディを走らせる

 
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この分野の先駆者といえるのがドイツメーカーのVWです。同社の人気車種と言えば元祖FF2ボックスカーであるゴルフですよね。このゴルフは従来、直列4気筒の1800ccや2000cc、グレードによってはV6の3200ccなど自然吸気エンジンを搭載していたのですが、現在では1200ccや1400cc、2000ccなどのダウンサイジングターボエンジンを搭載しています。
 
また、クラウンなどよりも大きな車体を持つ同社のセダン、パサートにも1400ccのダウンサイジングターボを搭載するなど、VWは全ラインナップでダウンサイジング化を進めています。ちなみにこのパサートの1,400ccエンジンのスペックは、パワーが150PS/5,000-6,000rpmで、トルクが25.5kgm/1,500-3,500rpmと十分なもの。最新の技術ではエンジンの回転数が低い状態でも十分な過給が可能となっていて昔のようにストレスを感じるようなターボラグはほとんど(ゼロではないですが)ありません。パサートの1.5tの車体を走らせるにも十分なポテンシャルをもっているのです。
 
そんなVWに続き、ベンツやボルボ、BMWなどといったヨーロッパの多くのライバルたちも、同様にダウンサイジングターボ化を進めています。
 
 

主流はディーゼル車から、ダウンサイジングターボへ

 
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なぜヨーロッパ車メーカーはダウンサイジングターボにここまで注力しているのか?その一番の理由は、EUの厳しい排ガス規制「ユーロ6」に対応するために必要なものだからです。2017年9月より、EUでは新たに「ユーロ6フェーズ2」と呼ばれる規制が施行されます。このフェーズ2では、2020年までに窒素酸化物(NOx)排出量を大幅に削減する事が求められています。
 
これまでヨーロッパでは燃費に優れ、トルクの大きいディーゼルターボ車の人気が高かったのですが、この「ユーロ6フェーズ2」に対して、従来のディーゼルエンジンでは、従来のユーロ6フェーズ1はクリアできても、フェーズ2対応するのが非常に困難なのです。
 
実はユーロ6以前のEUの規制、ユーロ5では、窒素酸化物(NOx)排出量の削減よりも、燃費向上やCO2排出量の削減が主眼に置かれており、日本やアメリカよりもNOx排出量の規制は緩かったのです。
 
しかし、ヨーロッパでも近年この窒素酸化物による大気汚染が問題視されるようになりました。そこで、新しい排ガス規制ユーロ6フェース2では、日本の排ガス規制と同等となるより厳しい規制値が導入されることになったのです。
 
もちろん高価な排ガス浄化装置を導入することで、これまでのディーゼルエンジンでもこのユーロ6フェーズ2のクリアは可能なのですが、その分のコストはそのまま車両価格に跳ね返ります。つまりはすべてのクルマに搭載することは難しいということ。そこで脚光を浴びたのがユーロ6をクリア可能な小排気量で省燃費、かつ低排出ガスのダウンサイジングターボというわけだったのですね。
 
現在もヨーロッパではディーゼル車が人気ですが、これも、ユーロ6フェーズ2の導入に合わせて、徐々にダウンサイジングターボ搭載車へ、人気が流れてゆくのはおそらく間違いないでしょう。
 
 

ハイブリッドカー人気がダウンサイジングターボ投入を遅らせた?

 
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(出典:HONDA)

 
では日本にメーカーに目を向けてみると、ヨーロッパ車メーカーと同様に近年ダウンサイジングターボに注力しているでしょうか?徐々に導入するメーカー増えていますが、決して主力にはなっていません。
 
その理由はハイブリッドカーやプラグインハイブリッド、EVなどの開発、導入が進んでいるためです。省燃費で低排出ガスのハイブリッドカーなどのラインナップが充実し、かつ人気も高いこともあって、ヨーロッパのようにダウンサイジングターボにユーザーの目が向かないためです。ディーゼルが主流だったヨーロッパとは自動車市場の環境が違うのです。
 
また、日本では、ターボ車=高性能スポーツカー=燃費が悪い、といったイメージが強く残っているということも一部あるからなのかもしれません。さらにダウンサイジングターボ車は、加速が必要なときにはターボで過給し十分なパワーを得て、アウトバーンなど一定の速度で巡航が可能なパワーがそれほど必要でないシーンでは、効率の良い小排気量エンジンとして走行可能です。
 
高速道路でも走行スピードが比較的穏やかで、渋滞や信号によるゴー・ストップが多い日本の道路環境では、ダウンサイジングターボのメリットが活かしにくい(もちろん技術が進めばそんなことはなくなるでしょうが)ということもあるではないでしょうか。
 
日本の交通環境では、スタートや低速走行はバッテリーとモーターで走り、高速走行ではエンジンを併用するといったハイブリッドがマッチしているともいえます。ゆえに中々ダウンサイジングターボの開発が進まなかったのかもしれません。ただし、ハイブリッド車は日本でこそ人気が高いですが、世界的にみると決して主流ではありません。
 
実際、国産車にもダウンサイジングターボ車の導入が始まっています。ハイブリッド車やEV車ばかりがもてはやされている日本ですが、スバルのレヴォーグや日産のジューク、ホンダのステップワゴンなどダウンサイジングターボ車は増えているのです。
 
プリウスをはじめとしたハイブリッドカーの人気が現状は圧倒的に高いようですが、世界に目を向けてみるとむしろこれからの主流はダウンサイジングターボ車。もちろんその先にはEV化がるのでしょうが。となれば、我々な日本のローカル的人気車(は言い過ぎですが)ともいえるハイブリッドばかりに注目せず、こういったダウンサイジングターボ車に今後は注目してゆく必要があるのではないでしょうか。