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クライスラーは撤退なのになぜかJEEPは大人気!その理由は?

2016年いっぱいで残念ながら日本を撤退してしまったアメリカの自動車ブランドがフォードです。アメ車は大きく燃費が悪いので日本向けでない、とはいいますが、フォードはGMやクライスラーよりも日本向けの車種も少なくなく、比較的日本で根付いていたアメ車ブランドでした。
 
かなり昔ですが、マツダが協力関係にあったころにはフェスティバなどのかわいらしいコンパクトカーがヒットしましたし、スタイリッシュなトーラスワゴンが一時期ブームになったこともありました。
 
ほかにも、フィエスタやフォーカスなどヨーロッパフォード車も走りのよさで高く評価されていたはずです。それと、あまり関係ありませんが筆者はかつてフォードのレーザーというマツダファミリアの兄弟車に乗っていました。ライバルに比べてちょっとおしゃれなハッチバック車でかなり気に入っていました。ですのでこのフォード撤退のニュースには個人的に一抹の寂しさを覚えたものです。
 
しかし、その撤退決定後は、あっという間に街中からフォードの新車ディーラーが当たり前ですが閉店してしまいました。街中からフォードの看板が消えてゆき徐々にフォード車も見かける機会も少なくなっていく、そんな様子に、フォード車に乗る方は以後のサポート体制がどうなるのか?などの不安を覚えているのではないでしょうか。
 
そして、そのフォードディーラーだった跡地に、まるで入れ替わるように次々誕生しているのがJEEPのディーラーです。そう、あのオフロード車の代名詞ともいうべきアメリカ車、JEEP(ジープ)の正規販売店です。
 
JEEPといえば、かつてはビッグスリーの一角であったクライスラーの一ブランドでした。そのクライスラー自体は2014年にフィアットの子会社となり、今はFCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)ジャパンが輸入元となって日本市場に展開しています。
 
とはいえ、そのクライスラーブランドもフォードと同じく2017年で日本撤退と噂(2017年12月時点)されて(こちらの記事が掲載されているときにはすでに撤退しているかも)います。現状で取り扱い車種も極わずかで、積極的に売ろうという姿勢も見えません。撤退はおそらく間違いないのでしょう。対して、新車ディーラーも次々誕生し、とても勢いを感じるのがJEEPブランドです。
 
オフロード車に特化した趣味性の高いクルマが、今や、本体(かつての)クライスラーを凌ぐ人気となっているというとても皮肉な構図になっています。
 
確かにJEEPは他にはまねのできない独得な世界観を確立しており、またその歴史的な背景を考えても、変るもののない特別な存在。たとえ性能面で優れたライバル車がいたとしてもゆるぎないブランドを確立しています。だからこそ、日本でも根強いファンがいるのでしょう。でも、どのようにしてJEEPはそのブランドは確立していったのでしょうか。
 
 

オフロード車といえばJEEP!戦場で鍛えられた抜群の走破性

 
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JEEP(ジープ)は、クルマにさほど興味のない方でも、それこそ小さなお子さんでも、その名前を耳にするだけでなんとなくどのようなクルマかすぐにイメージができるキャラクターの強いクルマです。ベテランドライバーのなかには、オフロードタイプのクルマは全てJEEPという方さえいます。例えばトヨタのランドクルーザーならトヨタのJEEPのように。それほどオフロードといえばJEEPのブランド、そしてイメージは定着しています。これは今後もおそらく覆らないでしょう。
 
いうまでもありませんが、そもそもは軍用車として開発されたクルマです。いうなれば今のアメリカ軍ハンヴィー(ハマーの軍用モデル)の祖先ですね。
 
ちなみにJEEPという名前は元々は愛称であり、実は車名ではありませんでした。そのルーツはGeneral Purposeの頭文字GPからきているとか、人気漫画ポパイに登場するキャラクター、ユージン・ザ・ジープからとられた、など諸説あるようですがはっきりとした起源は不明です。
 
オリジナルJEEP(当初はそんな名前はありませんでしたが)の開発は今から70年以上前、1940年ごろ、米バンタム社という小さな会社によって行われました。その後ウイリス社によって改良がなされ、それがいわゆるオリジナルのJEEP、ウイリスMBとなり米軍に正式採用となります。
 
もともとの開発元であるバンタム社は、大量生産が可能な規模ではなかったこともあり、生産はウイリス社、そしてフォード社によって行われました。それぞれウイリスMB、フォードGPW(名前は違いますが同一車両)として生産が進み、第二次世界大戦時に投入されたのです。
 
オリジナルのジープは現在の視点でみると想像以上に小さなクルマです。全長×全幅は3,277mm×1,575mmで、ホイールベースは2,032mmほど。
 
現行のスズキのジムニーのサイズが全長×全幅が3,395mm×1,475mmで、ホイールベースは2,250mm。なので軽自動車のジムニーよりも、ちょっと短く、幅が10cmほど大きいという程度。これにあの大柄アメリカ人が乗っていたわけですから凄いですね。
 
 

走破性の高さで人気となり、やがて民間市場向けのJEEPが誕生

 
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ウイリスMB、フォードGPWは第二次世界大戦終戦までに約64万台以上が生産されたとされています。そしてそれが世界各地に配備されたわけです。それはアメリカ軍だけでなく連合国の同盟軍でも使用され、世界各地の戦場を駆け回り高く評価されたのです。
 
コンパクトながら優れた走破性を持ち、シンプルな構造で耐久性も抜群。戦地から戦地への移動から、各種物資の輸送、負傷兵の移送に連絡や斥候などにも重宝されました。
 
そして、もちろん戦闘などにも投入されています。とにかく、様々な目的に利用され、大活躍!戦場という極限の中で信頼を得て、その名声を築き上げたわけです。
 
やがて、1949年にウイリス社によって開発されたJEEPの後継モデル、M38へとモデルチェンジ。そしてJEEPは第二次世界大戦後も第一次中東戦争に朝鮮戦争、さらにベトナム戦争でも活躍しました。そのように戦場で兵士たちの相棒として愛されたJEEPは、やがて軍から民間に払い下げられことになります。
 
そして、かつて、戦場でそのJEEPを相棒としていた元兵士たちの手に渡り、戦場以外の平和な社会でも人気を集めることとなります。戦場で鍛えられた走破性を持つクルマです。アメリカの荒野や砂漠を走るにもまさにもってこい。軍用車なので快適性には劣るかもしれませんが、それ以上に優れたオフロード性能をもっています。農場や牧場、山の中にビーチまで、自由自在に走り回るJEEPの姿を見れば、民間市場で注目されるのも必然だったのでしょう。
 
そして、そのことはJEEPの製造元であるウィリス社も注目します。これを受けて軍の払い下げではない、民間市場向けのJEEPが投入されることになります。さらにJEEPという名称も商標登録を行い、ブランドの認知も広まり、オフロード車の一大ブランドとしてJEEPが磐石の地位を築きあげ、現在に至るというわけです。
 
 

JEEPはオフロードの王者から都会派JEEPブランドへ

では日本ではどうだったのか、実はJEEPはかつては日本でも三菱が製造、販売を行っていました。1998年に製造中止になりましたが、この三菱JEEPは自衛隊でも使用されていたのです。
 
オリジナルのウイリスMBや、日本製の三菱JEEPはとにかくスパルタンなイメージがあります。4WDで野山を駆け回るザ・オフローダー的なクルマで、ドアや屋根もなく(あるものもありますが)、オートマもなければエアコンもない。快適装備などジャマなだけ!といったクルマでした。確かに悪路を走るにはこれ以上のものはありませんが、舗装路は疲れるだけで高速道路の使ったドライブなんて拷問でしかない!そんなクルマでした。日本でJEEPといえば長らくそんなイメージだったでしょう。
 
でもそんな印象をがらりと変えた、新時代のJEEPがやがて日本にも投入されます。それがチェロキーです。スパルタンな印象のそれまでのJEEPとはまるで違う、シンプルでスマートなステーションワゴンスタイルが新鮮でした。
 
実におしゃれな4WD車で独自のキャラクターを持ち、オフロード走行を目的としない、都会派オフローダーに人気を集めたのです。一時期はホンダのディーラーでも新車を扱っており、いわば日本でのSUVブームの先駆けのような存在でした。バブル時代には、モデルさんやクリエーターの方にも大変な人気を誇っていたのです。そこからでしょう、日本でのJEEPブランドの印象が大きく変ったのは。
 
以降JEEPはチェロキーをはじめ日本でも幅広い車種をラインナップしていくことになるわけです。
 
現在日本で販売されているJEEPブランドのクルマを見てみると、まずはファット500Xとの兄弟車となる小型SUV的なジープであるレネゲード。そして、比較的手ごろなサイズで、幅広いユーザーニーズに応えられるスマートなSUVコンパスもあります。
 
さらに、都会派JEEPの代表とも言うべきスタイリッシュで、スポーティなチェロキー、加えて、圧倒的な存在感と余裕のあるボディサイズで快適性も一級品の高級SUVグランドチェロキーまで個性的な車種がそろっています。もちろんオリジナルジープのイメージを受け継ぐスパルタインなラングラーもラインナップ。世界的なSUVブランドとして隙のない車種ラインナップは実に魅力的です。
 
こうしてみるとJEEPの印象はここ20~30年で大きく変りました。伝統あるブランドにあぐらをかかず、このように様々なニーズに応え、さらにJEEPらしさを失わなかったことが今のJEEPの人気に繋がっているのでしょう。
 
そしてつい先日、ジープから2020年にプラグインハイブリッド車が登場する、という発表もありました。時代に合わせて進化していくJEEP、これからもその人気は変らず続いていくのかもしれません。