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89年式国産車、普通なら廃車…が 1,000万円を超える金額で落札!

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8万2500ドル=約1,000万円。これが何の金額はお分かりでしょうか? 何と今から25年以上前(1989年~1994年)に生産された日産のスカイラインGT-R、いわゆるR32型GT-Rのオークションでの落札価格です。金額をドルで書いていますから日本の話ではなく、アメリカでの話だというのは説明するまでもありませんね。

 
これは先日アメリカのRMオークションでのこと、そのオークションの会場で、1989年式の日産のR32型スカイラインGT-Rが、8万2,500ドルで落札されたというニュースが先日日本に届いたのです。

 

日本屈指に名車スカイラインGT-R、海外でもその人気は群を抜く

 
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スカイラインGT-Rといえば今もクルマ好きにとっては憧れのクルマです。1969年のPGC10型、いわゆる初代のハコスカGT-Rからはじまり、カーマニアから熱狂的な注目集め、数々のレースに参戦し伝説的な連勝記録を打ち立てました。その驚異的な性能で日本のカーマニアにとって伝説の存在となり続いて2ドアのハコスカKPGC10型GT-R発売。ベースのスカイラインがハコスカからいわゆるケンメリに変わるとKPGC110型(ケンメリ)GT-Rへと進化しました。

 
しかし、オイルショックの時代がやってくると日本にも厳しい排ガス規制が導入され、レーシングエンジンを搭載したGT-Rはそれをクリアすることができず惜しまれつつ1973年にこの系譜のGT-Rは終了となります。

 
ちなみに初代のGT-Rの価格は当時154万円でした。これはどれくらいの価値だったのでしょうか? 単純に大卒初任給で比較してみましょう。まず1969年当時の大卒初任給は3万2400円ほど。対して平成27年の大卒初任給は厚生労働省のデータによると20万2,000円です。正確ではありませんが、これらの金額から単純に換算してみると、当時の154万円はおよそ今の960万円に相当するようです。国産車としては非常に高価だったことが分かりますね。とはいえ現行のR35型日産GT-Rは996万円~ですから妥当でしょうか? 生産台数自体は今のGT-Rよりも圧倒的に少数でした。例えばハコスカGT-Rは2ドアと4ドアを合わせて2,000台程、ケンメリGT-Rにいたってはわずか197台です。そのため現存する個体が非常に少なく、希少なクラシックカーとして、国内外で高値で取引されています。

 
そしてそんなGT-R名を受け継いで1989年、平成のGT-R、R32型スカイラインGT-Rが誕生しました。これはクルマ好きの間では伝説のGT-Rがついに復活したと、大きなニュースになりました。すぐに数々レースを参戦しハコスカGT-Rと同様に圧倒的なポテンシャルで素晴らしい連勝記録を打ち立てました。市販者としても、当時のバブル景気の後押しもあって、そのGT-Rは発売直後から大ヒットとなり、500万円近い高価なクルマでしたが、国内のみだけで4万台以上を売り上げたというのですからすごいですね。

 
さらにR33型GT-R、R34型 GT-RとスカイラインがモデルチェンジするごとにGT-Rもベース車を変え次々に投入され人気を博しました。中でもスカイラインGT-Rとしては最終モデルとなるR34型GT-Rは、世界中で大ヒットした映画「ワイルドスピード」で主人公を演じた故ポールウォーカー氏(同氏はプライベートでもGT-のファンで合ったとも言われています)が駆ったことで、海外でもとても高い知名度と人気を誇っています。また他の歴代GT-Rもゲームや漫画などで海外のファンに知られており、日本人が思っている以上に高く評価されているのです。

 
現在のGT-Rは、エンジンも直列6気筒からV型6気筒となり、スカイラインのバリエーションではなくまったくべつのクルマ、日産GT-Rとなっていますが、日本車としては最高峰の性能を誇るスポーツカー、GT-Rであることにかわりません。ポルシェやフェラーリといったヨーロッパの名だたるスーパーカーと肩を並べる存在として、世界的に高く評価されているのです。海外では日本に人気映画のキャラクターからとって、“ゴジラ”の愛称でも呼ばれているようです。

 

 

アメリカで人気に引っ張られる形で、日本での取引価格が大幅に高騰

 
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このように確かにGT-Rは非常に素晴らしいクルマであり、そして国内外に多くのファンがいることは間違いないのですが、単なる中古車として考えた場合、1989年式というと、まだクラシックカーと呼ぶのは早すぎますし、かといって中古車としては値段がつくことが珍しいような中途半端に古い年式です。それがGT-Rだからといって1,000万円以上で取引されたというのですから尋常ではありませんよね。
 
ところでR32 GT-Rは今の日本の中古車市場でどれくらいの価格で取引されているのでしょうか? ちなみにR32 GT-Rの発売当時1989年(消費税が導入された年ですね。当時は3%でした。)の新車価格は445万円でした。
 
その結果は驚くべきもの。なんと10万キロを超える中古車であっても200万円台! 程度の良いものであれば400万円オーバーです! たしか4~5年前なら100万円前後で取引されていたはず。なぜこうなったのでしょう? どうやらこのGT-R価格高騰の原因は、前述のアメリカでのオークションでの高額落札にあるようなのです。
 
アメリカの人たちが、わざわざ日本から輸入してまで中途半端に古い日本の中古車を欲しがるのはなぜなのか? いくらスカイラインGT-Rが人気といっても不思議ですよね。それには理由があります。そもそもスカイラインGT-Rは日本の国内専用モデル(日産GT-Rは海外でも売られています。)であって、右ハンドルしか製造しておらず、イギリスなどの一部を除いて輸出はされていなかったのです。つまりアメリカのGT-Rファンは、どんなに欲しくても正規で購入することができなかったのです。さらに、アメリカには中古車輸入に関するいわゆる「25年ルール」というものがあって、例え中古車としても、輸入することができなかったのです。つい最近までは。

 

 

発売から25年が経過して、アメリカへの輸入ようやく解禁

 
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アメリカの25年ルールとは、連邦自動車安全基準(Federal Motor Vehicle Safety Standard/FMVSS)の規制で、中古車の製造後の車齢が25年未満である場合、このFMVSSの安全基準をクリアしていないと輸入ができないとされています。海外に魅力的な中古車をみつけてもアメリカのカーマニアは自由に輸入することができなかったのですね。でも、逆にいうと25年以上の車齢のクルマであればFMVSSをクリアしていなくても輸入が可能になるというわけです。
 
そこで前述のR32型 GT-Rの年式がポイントになります。R32 GT-Rは1989年から1994年まで製造されていました。つまりR32型GT-Rでも初期のモデルはつい最近、ようやく車齢25年を超えたのです。アメリカのGT-Rファンにとっては待ちに待った瞬間です。すると日本からアメリカへの輸出がいっきに加速し、輸出されたもの中でも状態のよいR32型スカイラインGT-Rが1,000万円で落札されたというわけです。
 
今後、アメリカへの輸入が正式に可能になったということもあってアメリカへの輸出向けに、一気に日本の中古車市場R32型スカイラインGT-Rの需要は増しています。人気があれば当然価格も高騰、結果が中途半端に古く、少し前までは格安で流通していたスカイラインGT-Rの日本国内での中古車価格が、急上昇してしまったということなのですね。今後値段が下がることはもしかしたらないかもしれません。

 

 

後世に伝えられる名車となり、日本のファンには手の届かない存在に?

 
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日本のGT-Rファンにとってこれは喜ばしい事なのでしょうか? GT-Rが単なる国産の中古のスポーツカーであれば、新車当時名車と言われていたとしてもやがては走り屋たちの改造のベースにされて、乱暴に扱われて乗りつぶされ廃車となる運命だったかもしれません。すでにそういう運命をたどった個体もあるでしょう。

 
それがキチンと名車としての扱いを受け、レストアされ大切に保管され、後世に残る。そう考えれば悪くないことなのでしょう。でも、程度のよい貴重なGT-Rがどんどん輸出に回り、手に入れようとすると金額が高騰しすぎてとても手の届くものではなくなってしまったと思うと残念でもあります。今も当時のまま所有している方は簡単に手放さず是非大切に乗ってほしいですね。

 
今後、時間が経てばR33GT-Rや、R34GT-Rといった1990年代の国産のスポーツカーたちがアメリカの25年ルールをクリアしてゆくことになります。国産スポーツカーは値上がり続けてゆくことになるのかもしれません。90年代の国産スポーツカーファンは、R32型GT-Rのように手の届かない存在になる前に、早めに行動を起こした方が良いかも知れませんね。