TEL.03-3586-1522info@car-auc.jp

渋滞情報がさらに充実!ワイドに進化したVICS WIDE

市販製品としてはおそらく1990年のパイオニアAVIC-1が最初(自動車メーカーのオプションとしてはその前からありました。)だったでしょう。カーナビが市場に投入された直後から、筆者はその進化の推移を見守ってきました。
 
極初期のカーナビにはじめて試乗したとき、それはまだ目新しい電子地図でしかありませんでした。でも、自車位置が地図上に表示されるということだけでも驚異的なことだったのは間違いありません。
 
当時のカーナビは、CD-ROMに収録されたシンプルで情報量の少ない電子地図が、小さな液晶画面に表示され、そこに表示されるGPSの自車位置精度は今とは比較にならないほど低いものでした。およそ200~300mはズレるのは当たり前。よく道路を走っていたのに、ナビ画面ではクルマが海中を走行しているなんていわれていたのがこの時代です。そしてもちろんルート探索などはできませんでした。
 
今のナビのように親切なルート案内などもできず、目的地の方向が、ただ直線で地図上に示されるだけのものでした。なのでドライバーはあっちの方向が目的地か?と見当をつけて自分でルートを選び走るしかないというものだったのです。正直これでは実用になるまでには、まだまだかかるだろうな、という印象を強く持ったことを覚えています。
 
しかし、徐々にというか、年々着実に進化を続け、GPSの精度が上がり、メディアは大容量化。そして検索やルート探索の機能が充実して、タッチパネルやボイスコントロールなど使いやすさも向上。加えて通信機能の搭載で拡張性も実現。2000年代にはドライブにはなくてはならない車載ツールになりました。今や、カーナビやスマホのナビアプリなしで、クルマで出かけるなんて考えられませんよね。
 
 

様々な交通情報をカーナビに配信 画期的だったVICSのサービス

 
57520c888e69e9c333ba30b67fcc0f79_s
 
そんなカーナビの進化の中でも、特にこれは凄い!便利になったな!と感じたのが渋滞情報をナビ画面上に表示できるようになったこと。そう、VICSのスタートですね。これは紙の地図では実現できないカーナビならではの機能。スマホなどがない時代ですから、実に画期的だったのです。
 
このVICSは、全国の交通情報をVICSセンターが集計し処理、そしてその情報をVICセンターからFM多重電波や光・電波ビーコンを使って、走行中のクルマの各カーナビに送るという仕組みです。
 
その情報は、リアルタイムの渋滞情報を地図上に表示できるだけでなく、その情報をルートの迂回にまで利用できる(別途オプションが必要)というのがすばらしく、地方の取材ではとても有効に使わせてもらった記憶があります。
 
しかしそんなVICSも、さすがに数年前からはその情報量の少なさが目に付き始めていました。特に据え置き型のカーナビに標準搭載されているFM多重のVICSは、情報の利用方法にも制限(渋滞回避ルート探索にその情報が利用できない)があるなど、規格としての限界が見えていたのも確かです。サービスが始まったのが前世紀の1996年ですからそれも仕方ないかもしれませんが。
 
さらに、最近はスマホのカーナビアプリで、VICSよりももっと充実した渋滞情報が得られるようになりました。そうなると、さらに不満を覚えてしまうのはしょうがありません。(関連記事 – スマホのカーナビアプリvsとカーナビ専用機
 
加えて、ETC2.0の登場もあります。従来のETCを大幅に進化させたETC2.0では、それに対応したITSスポットから様々な情報を受け取るようになりました。それは交通も含まれます。(関連記事 – 本格的にスタートETC2.0!その導入はお得か損か?
 
そしてその目玉サービスの一つがダイナミックルートガイダンス(道路交通情報提供)です。ようは高速道路での渋滞迂回ルート探索がVICSの情報を利用せずに出来るようになったというもの。であれば、VICSはもはやなくてもかまわないのか?となりますよね。
 
でも、そんなことはありません。まずETC2.0はあくまで高速道路の交通情報を提供するというもの。一部災害情報のためにITSスポットが一般道にも設置されていますが、基本は高速道路のみ。つまり一般道の交通情報にはVICSなどの別のサービスが必要ということです。
 
それに、そのVICSも実は進化しているのです。2015年4月23日からVICSの新サービスとして、VICS WIDE(ビックスワイド)がスタートしています。ご存知だったでしょうか。では具体的にはどのように進化したのか、詳しく紹介しましょう。
 
 

FM VICSとはそもそもどんなサービスだった?

 
22824f64aa6eda8c1eec77a02461bc52_s
 
VICS WIDEは、VICSの中でもFM多重VICSが進化したものです。つまりFMの電波で情報を提供するサービスです。では、そのもととなった従来のFM多重VICSとはどのようなものだったのでしょうか?まずはそこからおさらいです。
 
VICSについては特に意識したことがなくとも、カーナビの画面では多くの人が目にしたことがあるでしょう。地図画面の道路に沿うようにして表示されるオレンジや赤、青い点線の矢印、それがFM多重VICSの情報を表示したものです。多くの据え置き型カーナビはFM多重VICSのチューナーを標準搭載しており、誰でも簡単に利用できました。無料というか、そもそものカーナビの価格の中にFMVICSの使用料が含まれていたのです。
 
何も情報がないことに比べれば、いま、どこが渋滞しているのかというのが、地図上ですぐに確認できるというだけでもとても便利なもの。しかし、今の視点で見てみれば、あくまで渋滞の大まかな情報を表示してくれるだけでしかない。その渋滞情報を利用して自動的に渋滞を避ける迂回ルートを探索するということはできないのが欠点です。
 
なぜできないのか、それは、渋滞回避ルート探索には、交差点間の移動にかかる時間の情報が必要なため。単なるここが込んでいるという情報では適切な受胎回避ルート探索はできないのです。FM VICSの情報にはそれが含まれていないのです。その情報を得るためにはFM VICSだけではなく、同じVICSでも光・電波ビーコンの情報を受けられるオプションの受信機が別途必要だったのです。
 
でも渋滞情報があればそれを利用して簡易的にも迂回ルート探索できそうなものですよね。どうやら技術的なことだけでなく、色んな運用上の制約があったようです。
 
 

VICS WIDE はFM多重だけでも渋滞回避ルート探索が可能に!

とにかく渋滞回避ルート探索を利用するには、カーナビに加えて、このオプションの光・電波ビーコン受信機が必要で、それには別途3~4万円は必要ということ。その利用頻度を考えると、その金額がとても高価に感じられて、購入することに躊躇する人も少なく(筆者ものその一人)ありませんでした。
 
なので、便利なはずのその渋滞回避ルート探索機能の恩恵にあずかれたのは、それほど多くは無かったのではないかと思います。
 
そもそも、渋滞がどこで起きているのかが地図で確認できるなら、自主的に空いているルートに移動すればすむことですから。それで再度渋滞に突入する可能性はありますが、ナビは新たな別ルートを引いてくれます。無論、より効率的なルートへの迂回ができるわけではありませんけれど。
 
しかし、あらたにサービスが始まったVICS WIDEと、それに対応したカーナビがあれば、光・電波ビーコン受信機がなくとも効率的な渋滞回避ルート探索が可能となったのです。これはうれしい。
 
でも、なぜそれが可能になったのか?それは、FM VICSの周波数の割り当てが見直されて、従来のFM VICSよりも情報の伝送容量が拡張されたため。なんと約2倍に伝送できる情報量が強化されたので、より充実した情報が提供できるようになったのです。
 
それは、渋滞回避ルート探索に必要な一般道の旅行時間情報やプローブ情報(これは東京限定)、さらに津波や火山噴火などの特別警報や、一時間50mmを超える豪雨情報なども含まれています。より安全で快適なドライブが楽しめるというわけですね。
 
それでいて従来のFMVICS同様、別途利用料金はかかりません。正確には対応カーナビの価格に含まれているのですが、光・電波ビーコンのようにオプションの追加などが不要なのもうれしいポイントです。
 
ただ、この便利なサービスを利用するには、VICS WIDEに対応した新しいカーナビが必要です。従来のカーナビに追加するようなオプションのチューナーを発売するメーカーは今のところないようです。
 
今使用しているカーナビに特に不満を覚えていないなら無理に買い換える必要はないでしょう。従来のFM VICSの情報もちゃんと提供され続けていますし。
 
でも、ETC2.0やVICS WIDEといった新たなサービスも充実してきました。ナビへの不満が多少でもあり、できたら最新のサービスというのを体感してみたいなら、と思うならカーナビの買い替え、ちょっと本気で検討してみるタイミングかもしれません。各社の最新カーナビのスペックを、ネットでチェックしてみるのはいかがでしょう。