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新型カムリにも搭載。完成度を高めたHUDはドライブの常識を変える?

(出典:TOYOTA)
2017年7月10日、トヨタの4ドアセダン「カムリ」がフルモデルチェンジとなり日本・アメリカ市場に同時投入されました。
 
こちらがその記事です。
 
そう、かつては結構な人気車であったあのカムリの10代目です。なんと、日本でもまだラインナップはなくなっていなかったのですね。失礼ですが筆者はその存在をすっかり忘れていました。
 
仕方ありません。先代、先々代とカムリって日本ではかなり存在感の薄い存在でした。セダンの不人気に加え、アメリカ向けに大型化したことが何より理由だと思います。でも、実はカムリはアメリカでは長年人気をキープし続けるベストセラーの中型(クラウン並みですがアメリカではこれで中型)セダン。なんと米国乗用車市場15年連続最多販売車種となるなどとてもメジャーな車種。ですからこのモデルチェンジはアメリカでは日本とは比較にならないほど注目されているのですね。
 
また、高級感があって車体が大きなクルマのヒエラルキーが高い中国市場でもカムリの人気は大変高く、この新型モデルの投入は、日本人が想像している以上に世界中で注目されているニュースといっていいでしょう。
 
ただ、残念ながら日本では、高級車や営業車を除けば、4ドアセダンの存在感がとても希薄。中でもグローバル市場向けに作られているカムリはそのサイズ(長さはクラウンとほぼ同じで車幅はより広い)が日本にあまりマッチしないということもあって、どうにも地味な存在であったのはいなめません。
 
となると今回のモデルチェンジもあまり期待できないのでしょうか?どうやら違うようです。この新型カムリに関しては、スタイリングも一新し、注目のオプションも搭載されることもあって、その不人気車(日本だけですが)のイメージがもしかしたらガラリと変わるかもしれません。
  

デザインを一新!若返りをはかりスポーティになったカムリがセダンを復権!?

 
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(出典:TOYOTA)

 
例えばそのスタイリングです。前モデルまでのカムリは日本市場向けとアメリカ市場向けでデザインのテイストを大きく変えていました。アメリカでは手頃な中型セダンという位置づけなのでスポーティでアメリカ人好みの少しアクの強いイメージでまとめられていました。高級車という印象はあまりありません。
 
それに対して日本では、台数が期待できないため上級グレードのみのラインナップで価格も高く、セダンを好むターゲットに合わせ落ち着いた印象のちょっと上質感のあるものになっていました。保守的で、よく言えば車格に見合った(日本では大型セダンになるので)高級感を感じさせるものになっていたのです。
 
しかし、この新型カムリでは日米でデザインを共通化。よりアグレッシブでスポーティな印象へと大きく舵を切っています。写真を見る限り失礼なのですがカムリとは思えないほど格好いいですね。このかなり大胆なイメージチェンジはアメリカでも話題になっているようで評価も概ね好評。今の所、日本でも以前よりメディアに取り上げられる機会も多く、その評価も悪くありません。トヨタとしてもプロモーションにかなり力を入れているのが分かります。
 
現状は国内のみハイブリッド専用になっていますが、好評ならV6やターボエンジンなどの投入も期待できるかもしれません。このカムリが日本における4ドアセダンのイメージ刷新、そしてセダンの復権の旗印になれるのかは注目ですね。
 
 

2.5m先に10インチサイズの映像を表示 新型カムリの大画面、フルカラーHUD

 
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(出典:GET AR

 
そして、そんな新型カムリの装備として、筆者が気になったものがありました。それは従来よりも性能がアップしたというフルカラーHUDです。HUDとは、Head-Up Displayの略。もともとは戦闘機や旅客機の計器の一つとして利用されていたもの。映画やゲームなどで戦闘機が登場するシーンでは敵機を狙う照準装置として描かれているのでなんとなくイメージできるでしょうか。
 
クルマのHUDも基本は同じです。ドライバーの視界の先、フロントウインドウよりもさらに前方に映像や文字情報などの虚像を投影する機器で、実際の風景の中に映像情報が虚像として浮かび上がって見え、視点や焦点を移動することなく、例えば速度情報やカーナビの案内情報などを視認することが可能というもの。
 
ただ、車載用HUD自体は最新というわけでもなくずいぶん前から何度か採用されています。カーナビ用のオプションやスマホをディスプレイとして使用する車載機器などもいくつか発売済みです。ベテランドライバーの方なら、バブル時代に大ヒットした日産のFRクーペ、シルビア(S13)に設定されていたということを記憶されているかもしれませんね。
 
S13シルビアが発売された当時、HUDは注目の装備として一瞬話題になりました。しかし、すぐに純正のオプション設定からも消え、以後、あまり採用するクルマも見られなくなるなど、所詮ギミックというかデジタルガジェット的な扱いでしかありませんでした。確かに初期のものは単にフロントウインドウにぼやっと速度を表示する程度で、視認性もさほど良くなかったのですからそれも仕方がなかったのかもしれません。
 
しかし、新型カムリの場合は当時と違ってかなりの高機能。速度に加えてハイブリッドシステムのインジケーターやレーダークルーズコントロールと連携した前車接近警報、カーナビと連動した案内情報(進行方向を示す矢印など)などまで表示可能です。
 
映像はカラーの上、高輝度なので昼間でも視認性は十分。すでに搭載済みのプリウスのHUDよりも、表示距離を0.5m前方に伸ばし(より焦点の調節が不要になりドライバーの目の疲労を軽減)て、およそ2.5m前方に10インチサイズの表示をしてくれます。

 
さすがに30年もたつとずいぶん進化していますね。ちなみに最上級グレードのGレザーパッケージに標準装備され、その下のグレードGにはメーカーオプションのカーナビを装着した場合に、追加のオプションで装着可能となっています。新型カムリを狙っているという人は是非このHUDにも注目してみてください。
 
 

車載AR用のインターフェイスとしてHUDの可能性が期待されている

 
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(出典:Pioneer)

 
HUDはこのカムリに採用されたものを見ても分かるように、以前より実用的に進化しており、再度注目度も増しています。とはいえ現状はあくまでメーター表示の延長ですが。「それじゃまた、いつのまにかに消えちゃうんじゃないの?」なんて悲観的に思う方もいるかもしれません。でも、実際にはその未来はかなり期待されています。なぜならAR技術とHUDはとても親和性が高いから。AR、つまり拡張現実です。現実世界の視覚情報にCGなどの映像情報を加え、リアルな世界を拡張するという技術です。
 
今のクルマには運転支援システム用にカメラの搭載が進んでいます。このカメラとカーナビの通信機能やGPS、さらにHUDを組み合わせると、車載用ARを実現する理想的なプラットフォームが完成するのです。HUDでクルマ用のARを実現するには正確な位置情報が必要ですが車載カメラとGPSがあればそれはクリア可能。あとはそこにHUDを追加するだけで、ARのための環境を実現するのです。技術的にもコスト的にも十分現実的なレベルまであと一歩のところまでもうきているのです。
 
とはいえ車載のARはいったどんなことができるのでしょうか?すでにあるものとしては目の前に見える現実の道路上にカーナビの案内矢印や標識などが重なって見えるというもの。これは市販ナビのHUDで実現済みです。(最近ちょっとすたれ始めていますが…。)
 
それ以外に考えられるものといえば?例えば前方のクルマの陰にバイクが隠れているけれど実際には見えない、そんな時です。そのバイクをワイヤーフレームのCGで実際に見えているクルマに重ねてHUD上に表示するとまるでクルマが透明になったかのように現実が拡張され、その存在に注意をはらうことが可能となります。未然にトラブルを避けられますよね。
 
さらに視界の外から接近してくる歩行者やクルマをカメラがとらえれば、どのように接近してくるのかを予測してCGで表示してドライバーに注意を促せます。
 
他にも、前方(後方)にふらつきながら走る自転車がいれば、その動きを予測してあらかじめどのよう動きそうなのかを画面表示しておき、とっさのときに回避する方法を教えてくれたり、場合によっては自動でブレーキを制御することも可能なはず。
 
豪雨や豪雪などで視界が極端に悪いシチュエーションでは、例えば50m先の道路が水没や陥没している時、実際には見えないその障害をCGとして道路上に重ねて表示する。危険を適切にアナウンスしつつ、通行止めの情報や避難のルートを指示するといった使い方も想像できますよね。他にも可能性は色々あるでしょうが、運転する上での安全性の向上には大いに貢献してくれるのは間違いないでしょう。
 
 

ARでクルマのウインドウに広告やゲーム画面が表示される?

それだけではありません。自動運転技術がさらに向上して、ドライバーが運転から解放されれば運転支援や安全性への貢献だけでなく、新たなメディアとして車載HUDが活躍する可能性も期待できます。
 
例えばSNSや、位置ゲームのインターフェイスとしても利用できる可能性は高いでしょう。また、実際にはごみごみとした渋滞の都会を走っているはずなのに、リゾート地の海岸通りの映像を重ねて爽快なドライブを楽しむなんてこともができるかもしれません。
 
広告媒体にもよさそうです。走行中フロントウインドウの先に実際に見えている店舗が気になったとします、すると、ショップの情報がCGとしてHUDに重なって表示される。さらに、オススメの商品やメニューのCMが流れだし、そのまま購入、なんてこともできそうです。
 
お店情報だけではありません。例えば前を走っている新型のクルマに注目する。するとそのメーカー名や車名、価格が重なって表示。さらには購入できるディーラーまでのルートや自分のクルマの下取り価格やローンのシミュレーション案などまで教えてくれる!?なんてことになるかもしれせん。さすがに、そこまでくるとちょっと鬱陶しいですが可能性としては十分あり得ますよね。なかなか面白そうです。
 
HUDを使った車載ARの研究も世界各国で進んでいます。BMWなどはすでにコンセプトカーも発表済みです。こういったことは日本のメーカーこそ得意なはず。是非頑張って欲しいですね。
 
もちろん実現化するには法整備などを含めてまだまだクリアするハードルはたくさんあるでしょう。でも、世界中の優秀な自動車メーカーやIT企業が競い合えば、予想よりも早く、ほんの数年後には車載ARが当たり前になった世界がやってくるかもしれません。その時まで期待して待ちましょう。