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もはや絶滅種!?MT免許 そのメリットとデメリット

警察庁交通局運転免許課が発表している平成28年度版の運転免許統計によると、平成28年に全国の自動車教習所を卒業した(普通自動車免許を取得した)方は、115万8,327人だったそうです。これは多いのか少ないのか?過去のデータと比較してみましょう。
 
平成19年に普通自動車免許を取得した方は合計で127万9,209人でした。そして、その5年後の平成24年を見てみると116万9,042人。これらの統計データと比較してみると、残念ながら免許を取得する方は、年々着実に減ってきていることがわかります。
 
もちろん分母である人口自体が減っているので当然といえば当然ですね。ちなみに平成19年の日本人の総人口は約1億2803万3000人。対して、平成24年は1億2785万9300人で平成28年が1億2693万3000人。ということで、たった9年で1100万人も減少しています。
 
日本の都道府県の中で2位の人口を誇る神奈川県の平成29年時点での人口は約910万人(ちなみに1位は東京で、人口は約1億3700万人)です。つまり神奈川一県分以上の人口が、たった9年で失われたということですね。あらためて具体的な数字で見てみると驚きです。
 
話が少し横にそれてしまいましたが、数こそ減っていますが自動車の免許を取得使用という方は今も年間100万人以上はいるということです。
 
では、そんな最近免許を取得した方の中でも、MT(マニュアルトランスミッション。以下MT)免許と、AT(オートマチックトランスミッション。以下AT)限定免許の比率はどうなっているでしょうか?比較してみると、限定なし(MT車)が46万9,140人。対してAT限定の方は68万9,187人。約6:4で思ったとおりAT限定免許を取得する方のほうが多いということが分かりました。
 
 

MT車に対してAT車のほうが様々な面でメリット大

 
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なぜ普通免許取得者のAT限定の比率が増えているのか?これはわざわざ説明は不要かもしれませんが、単純にクルマ自体AT車が主流になったからでしょう。
 
一般のクルマだけではありません。トラックなどの貨物車やF1をはじめレースの世界でも、もはやMT車は少数派になっています。人間の手でクラッチとシフトレバーを操作するよりも、機械に任せたほうがパワーを確実に効率よく伝えられ、トラブルも少ない。パフォーマンスを追及するレースの世界でもMTはもはやレアな存在なのです。
 
そもそも、今新車で購入できるクルマの中で、MTを搭載したグレードをラインナップにそろえているメーカー自体が多くありません。もし新車でMT車を購入したい!とあなたが希望しても、その少ない選択肢の中から選ばなくてはならないのです。
 
対してAT車なら、ほぼ全てのメーカーのラインアップの中から、好きなものを選びたい放題です。極一部のスポーツカーにはMTのみというものもありますが、それは非常にまれで特殊なものだけです。
 
価格に関しても、車種によっては、MT車グレードのほうが安いというものもありますが、そもそもMT車グレードが欲しいクルマにラインナップされていない、選ぶことさえ不可能なのであればその比較も無意味でしょう。
 
それに、免許の取得に関しても、MT車の場合技能講習の時間も3時限ほど多く、その分料金も数万円高くなります。それもMT車免許が選ばれない理由なのだと思います。
 
 

AT車ならエンストもない 坂道発進だって簡単!

 
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そのようにMT車に乗る機会が今後まずないのであるならば、わざわざそのためのMT車免許を取るのは無駄!確かにそれは合理的な考えですよね。
 
それになんといっても、AT車の運転のほうが簡単です。クラッチ操作が不要でアクセルとブレーキ操作に集中できます。クラッチ操作を失敗しての、恥ずかしいエンストもありません。速度や勾配などを考えて、細かくシフトチェンジをしなくてもいいのです。
 
また、上り坂に停止線があった場合、MTなら後ろに下がらないようにブレーキとアクセルをうまく使って坂道発進を試みないといけません。しかし、AT車ならクリープ現象があるので、アクセルを話してもクルマは下がらない。単にペダルとブレーキからアクセルへと踏みかえるだけでスムーズに発信が可能。余計な神経を使いません。
 
それに、以前は、トルコン(トルクコンバーター)を使っているから動力伝達にロスがあるATは、燃費が悪い!などといわれていましたが、今はむしろ、運転技術で大きく差のつくMT車よりもコンピューターが効率的なシフトチェンジを行ってくれるAT車のほうが燃費は優秀です。
 
加えてクルマを手放すときの問題です。MT車のニーズが少ない現在、MT車は中古で買い取る側にしてみても売れる可能性が低いやっかいなもの。つまりは同じ車種、同様の装備であっても、MT車はAT車よりもどうしても下取り、買い取り価格が安くなってしまうわけです。一部スポーツカーなどの例外はありますが、基本的にそういった傾向が強い。それって後々を考えると大きなデメリットですよね。
 
やはりどう考えてもMT車がAT車に勝る点は思いつきません。もはやMT車の存在は風前の灯なのでしょうか?
 
 

MT車ならペダル踏み間違い事故を防げる可能性がある

 
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ではMT車にはもはやなんのメリットもないのでしょか?確かにクルマの選択肢も少なく、運転が大変で、燃費も特によいわけではない。加えて下取りや買い取りでAT車より不利。確かに単純にメリット、デメリットで判断すればそうなのかもしれません。
 
でも、MT車には安全面でAT車にないメリットもあります。それは最近話題になっているペダルの踏み間違いによる事故を起こしにくい可能性が高いということ。
 
MT車にはアクセル、ブレーキ、クラッチの3つのペダルがあります。AT車はアクセルとブレーキの2つ。ペダルの踏み間違いによる暴走は、ブレーキと間違ってアクセルを踏み込んでしまったことでおこっています。
 
しかしMT車の場合、ブレーキを踏む際には、エンストをふせぐために同時にクラッチも踏み動力を切断します。つまりブレーキを踏んだつもりでアクセルを踏んでしまっても。クラッチが切れていれば動力がタイヤに伝わらない。つまり暴走をおこしにくいということ。
 
もちろん異論はあるでしょう。それに全ての事故のケースがこれに当てはまるわけではありませんし、MT車でもギアを入れたまま、エンジンをスタートして誤発進してしまった、というトラブルは起きています。
 
でも、MT車は運転操作に集中しなくてはいけないという特性上、AT車よりも誤操作によるトラブルは防ぎやすいのではないかと筆者は考えています。
 
 

でもMT車にはAT車にない情緒に訴える魅力がある

 
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(出典:HONDA)

 
このようにメリットだけで判断すれば確かにAT車が優位にある。しかし、それでもMT車にあえて乗りたいという人も確かにいます。先日も新型ホンダシビックのMT車が予想を超える人気となっている、という話題がニュースになりました。やはりMT車にはAT車にはない魅力がそこにあるのです。
 
例えば、AT車はクルマが勝手にシフトチェンジを行ってくれます、しかし逆にいえばドライバーが自分の意思でシフトをコントロールできないということ。
 
アクセルでエンジンの回転数を合わせてクラッチを操作して、思いのままにシフトチェンジをする。クラッチでダイレクトにクルマのパワーを伝えているような感覚はMT車ならではのもの。
 
コーナーの手前でブレーキングをして、クラッチをコントロールしながらうまくシフトダウンが決まったときはまさに快感。このようにダイレクトにクルマを操作している感覚が味わえるのがなんといってもMT車の魅力なのです。
 
最近のDCTなどセミオートマ車なら、同じようなシフトダウンの感覚が味わえるのでは?と思うかもしれませんがクラッチを使い、タイムラグなくパワーをコントールする感覚はDCTでは得られません。
 
それにDCTは人間以上にスピーディーなクラッチ操作を自動で行ってくれ、かつ失敗がない。自分の手足を使ってクルマを操作した、という実感は得られにくいのです。運転のすることの楽しさや、その独得のエモーショナルなフィーリングを味わうにはやっぱりMT車だという人は今も少なくありません。
 
でもそれって自分自身で運転してみなくては分からないことなのです。どうですか、MT車の経験がない方も、一度その感覚を味わってみたいとは思いませんか?
 
AT限定免許はMT車を運転できませんが、MT免許なら、AT車もMT車も運転可能です。今はAT車が運転できればいいや、と思っていても、将来もしかしたらあなたがクラシックなスポーツカーに興味を持ちMT車を運転したい!と思うことがあるかもしれません。
 
もちろんクルマにさほど興味がないならAT限定免許で何の問題もないでしょう。MT車の良さを紹介しましたが、遠くない未来MT車自体が作られなくなる(これまでに作られたMT車はなくなりませんが)可能性は高いですし。
 
でも多少なりともクルマと、その運転に対して興味を持っているならば、まだ乗るチャンスがある今だからこそ、限定の解除に挑戦してみるというのも良いのではないでしょうか。